蒔田彩珠さんと是枝裕和監督――この二人の名前が並ぶだけで、映画ファンの心は期待で高鳴ります。
蒔田彩珠さんは若手実力派女優として注目を集め、是枝裕和監督は日本を代表する映画監督として世界にその名を知らしめています。
二人が再びタッグを組むとなれば、その作品がどんな物語を描くのか、過去のコラボレーションからどのように進化しているのかが気になるところです。
本記事では、二人の最新作に焦点を当てつつ、蒔田彩珠さんの名演の軌跡を振り返り、その成長と深化を探ります。
最新作：Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』
蒔田彩珠さんと是枝裕和監督の最新のコラボレーションは、2023年1月に配信開始されたNetflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』です。
是枝裕和監督が総合演出を務め、蒔田彩珠さんは主要キャストの一人である氷川涼子役を演じています。
この作品は、小山愛子の同名漫画を原作に、京都の花街を舞台にした少女たちの日常と成長を描いたヒューマンドラマです。
物語の中心は、舞妓を目指して故郷から上京したキヨ（森七菜）とすみれ（出口夏希）という二人の少女。
キヨは舞妓としての才能に恵まれなかったものの、まかない（食事係）として花街に残り、仲間たちを支える役割を見出します。
一方、すみれは舞妓として成長し、厳しい世界で自分を磨いていきます。
蒔田彩珠さんが演じる氷川涼子は、キヨとすみれが共同生活を営む屋形の女将さんである梓の娘として登場。
クールで落ち着いた佇まいの中に、内に秘めた優しさや葛藤を抱えるキャラクターです。
この作品は、是枝裕和監督らしい「日常の中の美しさ」に焦点を当てた作風が特徴で、派手な展開よりも登場人物たちの感情の機微や関係性の変化が丁寧に描かれています。
蒔田彩珠さんの涼子は、物語に深みを与える存在として、キヨやすみれを見守りつつ、自身も過去の経験からくる複雑な思いを抱えていることが伺えます。
蒔田彩珠さんの静かな演技は、是枝裕和監督の演出と相まって、視聴者に深い余韻を残します。
過去の名演：是枝作品との出会いと成長
蒔田彩珠さんと是枝裕和監督の縁は、彼女が10歳の時に出演した2012年のドラマ『ゴーイング マイ ホーム』に遡ります。
この作品で蒔田彩珠さんは阿部寛演じる主人公の娘役を演じ、是枝から「柔軟性があって勘がいい」と高く評価されました。
この出会いがきっかけで、蒔田彩珠さんは「女優になりたい」という明確な意志を持つようになり、以降、是枝作品の常連となりました。
『海よりもまだ深く』（2016年）
是枝作品での初映画出演となった『海よりもまだ深く』では、蒔田彩珠さんは主人公・良多（阿部寛）の姪・彩珠役を演じました。
この作品は、夢を諦めきれない中年男とその家族の日常をユーモアと切なさを交えて描いたもの。
蒔田彩珠さんの役は出番こそ少ないものの、家族の中での自然な存在感を示し、後の作品での活躍を予感させました。
『三度目の殺人』（2017年）
続く『三度目の殺人』では、蒔田彩珠さんは殺人事件の被害者である少女・重盛ゆか役を演じました。
この映画は法廷サスペンスと人間ドラマが交錯する異色作で、蒔田彩珠さんの演技は物語の鍵を握る重要な部分を担っています。
無垢さとどこか影のある表情で、観る者に強い印象を残しました。
この時点で、彼女の感情を繊細に表現する力が際立っており、是枝裕和監督の信頼を得ていたことが伺えます。
『万引き家族』（2018年）
そして、蒔田彩珠さんの名を一気に広めたのが『万引き家族』です。
第71回カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞したこの傑作で、蒔田彩珠さんは柴田さやか役を演じました。
血縁を超えた「家族」が織りなす絆と脆さを描いた本作で、蒔田彩珠さんは幼いながらも複雑な感情を抱える少女を見事に体現。
無言の中で見せる表情や、さりげない仕草に込めた感情が、観る者の心を掴みました。
この演技は国内外で絶賛され、蒔田彩珠さんのキャリアにおける大きな転機となりました。
進化の軌跡：蒔田彩珠の深化する演技力
蒔田彩珠さんの演技は、是枝作品を通じて一貫して「自然さ」と「静かな力強さ」を持ち味としてきました。
子役時代から感情を押し付けず、役に寄り添う姿勢は、蒔田彩珠さんが是枝から学んだ「役を生きる」という哲学の賜物でしょう。
しかし、『万引き家族』以降、彼女の演技にはさらなる深みと多様性が加わっています。
例えば、2020年の映画『朝が来る』では、望まぬ妊娠に苦しむ少女・片倉ひかり役で主演級の活躍を見せ、複数の賞を受賞。
感情を爆発させるシーンから静かに涙を流す瞬間まで、観る者の心に刺さる演技で「天才女優」と称されました。
この作品での経験が、『舞妓さんちのまかないさん』の涼子役にも生きているように感じます。
涼子は感情を表に出さないキャラクターですが、その瞳の奥に宿る哀しみや優しさが、蒔田彩珠さんの進化した表現力によって際立っています。
また、2025年1月放送開始予定のTBS日曜劇場『御上先生』では、富永蒼役として再びメインキャストに名を連ねます。
是枝作品以外でも活躍の場を広げる中、蒔田彩珠さんの演技はさらに洗練され、役柄に応じた柔軟性を見せています。
最新作から見える未来
『舞妓さんちのまかないさん』での蒔田彩珠さんは、これまでの是枝作品での少女役とは一線を画し、大人の女性としての成熟した一面を垣間見せます。
涼子というキャラクターは、過去の傷を抱えつつも後輩たちを見守る強さと優しさを持ち合わせており、蒔田彩珠さんの演技に新たな層を加えています。
是枝裕和監督の演出は、蒔田彩珠さんの静かな存在感を最大限に引き出しつつ、物語に温かみを与える役割を担わせています。
この作品は、是枝裕和監督にとって初のNetflixシリーズという挑戦でもあり、蒔田彩珠さんにとっても連続ドラマでの新たなステップです。二人が築いてきた信頼関係が、映画とは異なるフォーマットでどのように花開くのか。
今後、二人が再び映画でタッグを組む可能性も含め、蒔田彩珠さんの進化の軌跡はまだまだ続きそうです。
蒔田彩珠のプロフィール
【氏名】蒔田彩珠（まきた・あじゅ）
【性別】女性
【生年月日】2002年8月7日
【星座】しし座
【身長】158cm
【ジャンル】女優
【代表作】ゴーイングマイホーム （関西テレビ）/2012年
志乃ちゃんは自分の名前が言えない （映画）/2018年
朝が来る （映画）/2020年
おかえりモネ （NHKテレビ）/2021年
さいごに
蒔田彩珠さんと是枝裕和監督の最新作『舞妓さんちのまかないさん』は、日常の中の小さなドラマを丁寧に描きつつ、蒔田彩珠さんの演技力の進化を示す一作となりました。
『ゴーイング マイ ホーム』での初共演から『万引き家族』での飛躍、そして最新作に至るまで、蒔田彩珠さんは是枝作品の中で成長し続けています。
その自然体でありながら心を揺さぶる演技は、蒔田彩珠さんが単なる「是枝のミューズ」を超え、日本映画界を担う女優へと進化している証です。
これからも二人のコラボレーションに注目しつつ、蒔田彩珠さんのさらなる名演を期待せずにはいられません。
