2025年4月25日、北海道根室市でゼニガタアザラシの死骸から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出され、国内初の事例として注目を集めています。
このニュースは、鳥インフルエンザが哺乳類に広がる可能性や、人間や生態系への影響について多くの疑問を呼び起こしています。
本記事では、アザラシの感染が人間に及ぼす影響、生態系への波及、そして個人でできる予防策について、最新の情報をもとに詳しく解説します。
- ゼニガタアザラシから高病原性鳥インフルエンザが国内初検出。人間への感染リスクは低いものの、注意が必要。
- 感染経路は不明だが、野鳥との接触が関与している可能性。生態系への影響が懸念される。
- 個人では、野生動物との接触を避け、手洗い・消毒を徹底することで予防可能。
- 専門家の意見やインタビュー記事は見つからなかったが、環境省や農林水産省の公式情報に基づく。
アザラシの鳥インフル感染が人間に及ぼす影響
高病原性鳥インフルエンザウイルスは、通常、鳥類に感染するA型インフルエンザウイルスですが、まれに哺乳類や人間にも感染することがあります。
環境省によると、鳥インフルエンザウイルスは「感染した鳥との濃密な接触等があった場合を除いて、人には感染しないと考えられています」。
根室市でのアザラシの事例では、感染経路は不明ですが、近隣で野鳥の感染が確認されており、野鳥との接触が関与している可能性が考えられます。
厚生労働省は、鳥インフルエンザが人間に感染する場合、潜伏期間は2~9日で、発熱、咳、全身倦怠感、筋肉痛、下痢、嘔吐などが初期症状として現れるとしています。
重症化すると肺炎や多臓器不全に至る場合もありますが、日本では人間への感染例は確認されていません。
ただし、Xの投稿では「確率は低いが高毒性の鳥インフルエンザが人間に感染したら死亡率は数十%と言われている」との懸念も見られ、注意が必要です。
現時点で、根室市の事例が直接人間に影響を与える可能性は低いものの、野生動物との接触には慎重さが求められます。
特に、死亡した野生動物やその排泄物に触れることは避け、触れた場合は手洗いとうがいを徹底することが推奨されています。
生態系への波及とその懸念
アザラシへの鳥インフルエンザ感染は、生態系への影響も懸念されます。
国立感染症研究所によると、2021年以降、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の世界的な感染拡大が続き、野鳥や家禽だけでなく、アザラシ、イルカ、ミンクなどの哺乳類への感染が報告されています。
根室市では、アザラシの回収地点で野鳥の感染が確認されており、ウイルスが食物連鎖を通じて海洋哺乳類に広がるリスクが考えられます。
このような感染拡大は、海洋生態系に影響を及ぼす可能性があります。
例えば、ウイルスがアザラシ以外の海洋生物に広がれば、漁業や地域の生物多様性に影響を与える恐れがあります。
朝日新聞の記事では、専門家の間で「鳥インフルエンザが毎シーズン流行し、哺乳類への感染が広がる」との懸念が広がっていると報じられています。
しかし、根室市の具体的な生態系への影響については、環境省や研究機関によるさらなる調査が必要です。
個人でできる予防策
鳥インフルエンザの感染を防ぐために、個人で実践できる予防策は以下の通りです:
- 野生動物との接触を避ける:死亡した野鳥やアザラシに素手で触らない。環境省は「同じ場所でたくさんの野鳥などが死亡している場合には、都道府県や市町村役場に連絡」を推奨しています。
- 手洗いと消毒の徹底:野生動物やその排泄物に触れた後は、必ず手洗いとうがいを行い、靴裏の消毒も必要に応じて行う。
- 家禽やペットの管理:農林水産省によると、鳥を飼育している場合は、餌や水のこまめな交換、飼育場所の清掃、口移しでの餌やり禁止が重要です。
- 加熱調理の徹底:鶏肉や卵を食べる際は、中心部が70℃以上になるよう十分に加熱する。鶏肉や卵を介した感染例は報告されていません。
これらの対策は、鳥インフルエンザだけでなく、他の感染症予防にも役立ちます。
なお、鳥インフルエンザの流行地域への渡航時には、鳥類の飼育場や市場への立ち入りを避け、十分に加熱された食品を摂ることが推奨されています。
さいごに
アザラシから高病原性鳥インフルエンザが検出された国内初の事例は、人間への直接的なリスクは低いものの、野生動物との接触における注意の重要性を改めて示しています。
生態系への影響については、引き続き監視と研究が必要です。私たちにできることは、野生動物との適切な距離を保ち、手洗いや消毒を徹底すること。
環境省や自治体の情報に注目しながら、冷静に対応していきましょう。