コアラの安楽死は倫理的に許される?オーストラリア山火事でのヘリコプター射殺の背景とは?

※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

2025年3月から4月にかけて、オーストラリア南東部ビクトリア州のブジビム国立公園で起きた大規模な山火事により、約700~1100匹のコアラがヘリコプターから射殺されました。

州政府はこれを「安楽死」として、火傷や飢餓による苦痛を軽減する人道的措置と主張していますが、動物保護団体やSNSでは「残酷」「倫理的に問題」との批判が広がっています。

この衝撃的な出来事の背景と、倫理的議論の核心は何でしょうか?

公式発表や専門家のコメントから、真相に迫ります。

この記事のまとめ
  • ビクトリア州で2025年3月~4月の山火事後、約700~1100匹のコアラがヘリコプターから射殺され、「安楽死」とされた。
  • 州政府は火傷やユーカリ不足による苦痛軽減を目的とし、獣医師や専門家の助言に基づく人道的措置と主張。
  • 動物保護団体は「残忍な方法」「不透明な決定過程」と批判し、射殺の正確性や代替案の検討不足を問題視。
  • 倫理的議論は、安楽死の定義、空中射殺の妥当性、生息地管理の責任に集中。
  • インタビュー記事は見つからなかったが、保護活動家や専門家のコメントが議論を補強。

コアラの安楽死は倫理的に許されるのか

ビクトリア州当局は、射殺されたコアラ約1100匹(報道により700~1100匹と幅あり、)を「安楽死」と呼び、「不要な苦痛を和らげるための人道的措置」と説明しています。

州環境局のジェームズ・トッドさんは、「火災で影響を受けた動物たちがこれ以上苦痛を味わわないようにすることが焦点だった」とし、獣医師や野生動物福祉専門家の意見に基づいた慎重な決定だったと述べました。

しかし、動物保護団体「動物のための人道世界」は、「射殺の規模や正当性に深刻な懸念がある」とし、第三者委員会による調査を要求。

保護活動家のクレア・スミスさんは民放9ニュースで、「ヘリからコアラの状態を正確に見極められるのか」と疑問を呈し、「二度と繰り返してはならない」と訴えました。

X上では「安楽死とは名ばかり」「狂った行為」と感情的な批判が飛び交い、倫理的問題として「安楽死の定義」が問われています。

獣医学会では「安楽死はQoL(生活の質)の尊重と動物福祉に基づく」とされるが、ヘリからの射殺が「苦痛を最小化する」方法として適切だったのか、議論が分かれています。

山火事とコアラ射殺の背景

2025年3月10日、落雷による山火事がブジビム国立公園で発生し、約2200ヘクタール(東京ドーム約470個分)が焼失。

コアラの主食であるマンナガム(ユーカリの一種)が壊滅し、多くのコアラが重度の火傷や飢餓状態に陥りました。

州政府は、険しい地形と高木にいるコアラへの地上接近が困難だったため、ヘリコプターからの射殺を採用。

当局は、30メートル上空から双眼鏡で個体を観察し、状態を確認して射殺を判断したと説明しています。

ビクトリア州には約46万匹のコアラが生息し、過密化が問題の一因。

過去20年で生息地は森林伐採や都市化で50~62%減少し、2022年に一部州で絶滅危惧種指定されました。

2019~2020年の大規模山火事では約30億匹の動物が犠牲となり、コアラの71%が被害地域で姿を消したとされます。

今回の射殺は、こうした環境危機下での「苦渋の決断」として行われました。

批判の焦点:射殺手法と代替案の検討不足

動物保護団体や専門家は、射殺手法の「残忍さ」と「透明性の欠如」を強く批判しています。

コアラ同盟のジェシカ・ロバートソンさんは、「動くヘリから健康状態を正確に評価するのは不可能」と断言。

セントラルクイーンズランド大学のロルフ・シュラグロットさんは、「小さく上空から確認しにくいコアラを無差別に撃つのは秩序を欠く」と批判し、地上アプローチの必要性を指摘しました。

Xでも「救出すべきだった」「保護施設があるのに」との声が上がっています。

NGOは「物資提供や空路搬送」の検討余地があったと主張し、2020年の山火事での保護対応例を参照。

安楽死以外の選択肢が十分模索されなかった点が、「効率優先の暴力的正義」と批判される要因です。

Xの「育児嚢の子の選別はどうした?」や「当たりどころが悪ければ苦しむ」は、射殺の正確性への疑問を反映しています。

さいごに

オーストラリアのコアラ射殺は、山火事という自然災害と環境危機が引き起こした悲劇です。

州政府の「安楽死」主張は、動物福祉の観点から一定の理解を得る一方、ヘリコプター射殺という手法と代替案の検討不足が、倫理的批判を招きました。

この出来事は、災害時の動物保護や生息地管理の課題を浮き彫りにし、私たちに「命の扱い方」を問いかけます。

今後、透明な決定プロセスと事前保全策が求められるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました