第75期王将戦七番勝負第4局が、2026年2月17日から18日にかけて和歌山県和歌山市の和歌山城ホールで行われました。挑戦者の永瀬拓矢九段が先手の藤井聡太王将を132手で破り、シリーズスコアを3勝1敗としました。これにより、藤井王将はタイトル戦七番勝負で初めてカド番に追い込まれ、六冠失冠の危機に直面しています。
この記事では、なぜ藤井王将が今大ピンチに陥ったのか、その本当の理由を探ります。最新の対局結果と感想戦の内容を中心に、わかりやすく解説します。
この記事のまとめ
- 永瀬九段が第4局で勝利し、シリーズを3勝1敗として藤井王将に初のカド番を突きつけた。
- 戦型は角換わりで、序中盤は互角だったが、終盤の勝負手で形勢が逆転した。
- 藤井王将の89手目△5五歩が銀取りを狙った積極策だったが、結果的に永瀬陣の連結を解けず、攻めが加速しなかった。
- 永瀬九段の粘り強い受けと反撃が光り、藤井王将は形勢不利を悟った後に悔やむ手があった。
- 七番勝負19回目で藤井王将が初めて3敗を喫し、歴史的なピンチを迎えている。
- 次局(第5局)は3月8〜9日に予定されており、防衛へ向けた逆転が注目される。
藤井聡太がなぜ今大ピンチに陥ったのか?本当の理由
藤井聡太王将が今、大ピンチに陥っている最大の理由は、第4局での敗北によりシリーズが1勝3敗となったことです。これまで藤井王将はタイトル戦の七番勝負で、18回登場してすべてタイトルを獲得してきました。しかし、19回目となる今回の王将戦で初めて3敗を喫し、カド番(後がない状況)になってしまったのです。
日本将棋連盟の公式情報や報道によると、両者のこれまでの対戦成績は藤井王将の33勝13敗と優勢でしたが、今期の王将戦では永瀬九段が第1局と第3局で先勝。第2局を藤井王将が取り返したものの、第4局で再び永瀬九段が勝利しました。永瀬九段はこれで通算6期目のタイトル挑戦で初の王将位に王手をかけており、藤井王将にとっては防衛が極めて厳しい状況です。
なぜここまで追い込まれたのか。鍵は第4局の終盤にあります。対局は角換わり腰掛け銀の戦型で、序盤から中盤にかけて両者とも時間をほとんど使わずに進みました。永瀬九段の研究が深く、藤井王将も対応を迫られる場面が多かったようです。
特に注目されたのは、午後の終盤戦。藤井王将は形勢がやや不利と悟ったところで、89手目△5五歩という勝負手を指しました。これは永瀬陣の金銀の連結を解き、攻めを加速させる狙いでした。しかし、この手が裏目に出てしまいました。報道によると、藤井王将はこの手を終局後に強く悔やんでいます。銀取りを狙ったものの、永瀬九段の陣形が崩れず、逆に攻めが加速しなかったのです。
永瀬九段の粘り強い受けが光りました。永瀬九段は巧みに反撃し、藤井王将の攻めを封じ込めました。結果、132手で永瀬九段の勝利。終局時刻は18時44分頃でした。
第4局の棋譜のポイントと形勢の推移
第4局は先手が藤井王将、後手が永瀬九段。戦型はシリーズ3度目の角換わりとなりました。
序盤では飛車先の歩突きから角換わりへ移行し、永瀬九段の5四銀で前例を離れました。両者とも時間をあまり使わず進行したため、研究のぶつかり合いが鮮明になりました。
中盤では永瀬九段が6五同桂などで積極的に仕掛け、藤井王将は34分考えて6六銀とかわしています。立会人の稲葉陽八段は「永瀬九段が研究をぶつけてきて、藤井王将がどう対応するかという将棋」と評しました。
終盤では互角の形勢が続いたものの、89手目△5五歩が分岐点となりました。藤井王将の積極策が空振りし、永瀬九段が反撃。飛車を打たれるなどして詰み筋が見え、投了に至りました。
AI評価値の推移では、中盤まで拮抗していましたが、終盤で永瀬九段側が急激に上昇しました。藤井王将の勝負手が逆効果となった形です。
感想戦での藤井聡太と永瀬拓矢の発言から見える敗因
終局後の感想戦とインタビューでは、両対局者が本音を語っています。藤井王将は89手目の△5五歩について、「銀取りに突き出したが、思惑とは裏腹に攻めが加速しなかった」と悔やむコメントを残しました。形勢不利を悟った後の勝負手が、結果的に永瀬九段の粘りを引き出す形になったようです。
永瀬九段は冷静に受けを続け、反撃の機会を逃さなかった点を強調しています。報道では、永瀬九段の「準備の範囲が不気味」との解説者の声もあり、研究の深さが藤井王将を苦しめた一因です。
藤井王将は終盤の読みの精度が問われた形となり、永瀬九段は勝利を「難しい将棋だった」と振り返り、互いに苦しい戦いだったことを認めています。
永瀬拓矢の粘りと研究力がもたらした逆転劇
永瀬九段の強みは、底知れぬ研究量と粘り強さです。今期の王将戦では、第1局から積極的に研究をぶつけ、藤井王将を翻弄してきました。第4局でも、序中盤の駒組みで優位を築き、終盤の受けで逆転しました。
藤井王将はこれまでタイトル戦で圧倒的な強さを発揮してきましたが、今回は永瀬九段の執念が上回ったと言えます。七番勝負で初めて3敗を喫した背景には、相手の準備の深さがあります。
次局への展望:逆転は可能か
第5局は3月8日から9日に栃木県大田原市で予定されています。藤井王将は後手番となり、初のカド番からの逆転防衛に挑みます。過去のタイトル戦では、藤井王将が劣勢から盛り返した例もありますが、今回は3勝1敗という厳しいスコアです。
永瀬九段があと1勝で初の王将位獲得となるため、両者とも全力の戦いが予想されます。藤井王将の集中力と永瀬九段の勢いがぶつかる、次局がシリーズの行方を決めるでしょう。
さいごに
第75期王将戦は、藤井聡太王将にとって初めての本格的な危機を迎えています。七番勝負19回目で初の3敗、カド番という歴史的なピンチですが、これまでの藤井王将の強さを知るファンにとっては、逆転への期待も大きいはずです。
永瀬拓矢九段の研究と粘りが光る一方で、藤井王将の勝負手が空振りした第4局の敗因は、終盤の精度にありました。次局で藤井王将がどのように巻き返すか。将棋ファンの注目が集まる中、シリーズの結末を見守りたいと思います。

