2025年6月19日、J1鹿島アントラーズはホームスタジアム「茨城県立カシマサッカースタジアム」のネーミングライツを株式会社メルカリが取得し、7月1日から新愛称「メルカリスタジアム」(略称:メルスタ)になると発表しました。
しかし、Xでは「転売スタジアム」と揶揄する声が上がり、賛否両論が巻き起こっています。
この記事では、「転売スタジアム」と呼ばれる理由、愛称変更の背景、Xでの反応を事実に基づいて検証します。
- 新愛称「メルカリスタジアム」:2025年7月1日からカシマスタジアムの愛称がメルカリスタジアムに変更。契約は3年間、年間1.5億円。
- 「転売スタジアム」の揶揄:メルカリの転売ビジネス批判や過去のスタグル転売問題が背景。Xで「転売ヤー」との関連が話題。
- ネーミングライツの目的:メルカリは地域社会へのコミットとテクノロジー活用を強調。茨城県は経済効果を期待。
- Xの賛否両論:「メルスタは呼びやすい」と支持する声と、「伝統に合わない」「茨城色がない」と批判する意見が混在。
- 伝統と愛称のバランス:カシマスタジアムの歴史(20タイトル)と新愛称のギャップが議論に。正式名称は維持。
メルカリスタジアムが転売スタジアムと呼ばれるのはなぜ?
2025年6月19日、鹿島アントラーズはカシマサッカースタジアムのネーミングライツを株式会社メルカリが取得し、7月1日から新愛称「メルカリスタジアム」(略称:メルスタ)になると発表しました。
しかし、Xでは発表直後から「転売スタジアム」と揶揄する投稿がトレンド入りし、批判的な声が広がりました。
この呼称が生まれた理由は、メルカリのビジネスモデルに対する根強い転売批判、カシマスタジアムでの過去の転売問題、そして日本社会における転売へのネガティブな感情が複雑に絡み合っています。

メルカリの転売ビジネスへの批判
メルカリは日本最大のフリマアプリとして、個人間での商品売買を促進していますが、「転売ヤー」(高額転売目的の転売者)による問題がたびたび批判されています。
例えば、2025年初頭にNintendo Switch 2の予約品がメルカリで定価の数倍で出品され、Xで「お米やSwitch2の転売、偽ブランドの販売で儲けた資金がスタジアム名に」と皮肉られました。
また、スポーツイベントのチケット転売も問題視されており、2025年6月2日には浦和レッズのクラブW杯非売品グッズがメルカリで出品され、サポーターから批判が殺到した事例があります。
メルカリは転売自体を禁止していませんが、チケット不正転売禁止法(2019年施行)違反や偽ブランド品の出品に対しては監視を強化。
しかし、Xでは「転売ヤーを容認して稼いでいる某サービスが悪い」や「転売ヤーからせしめた手数料で売名してる」と、メルカリの手数料収入モデルが「転売スタジアム」の揶揄に直結。
2025年5月には、転売批判によるネット上の誹謗中傷でメルカリが賠償命令を受けた事件も、ブランドイメージの悪化を加速させました。

カシマスタジアムの転売問題の歴史
カシマスタジアム自体も、転売問題と無縁ではありません。
2014年、Jリーグ公式投票で人気1位に輝いたカシマのスタジアムグルメ「もつ煮」が、メルカリやヤフオクで高額転売され、スタジアム内の購買環境を損ねるとしてサポーターから批判が上がりました。
2023年には、鹿島のホームゲームチケットが転売サイトで定価の2~3倍で出品され、公式が「正規ルートでの購入」を呼びかける事態に。
Xでは、「スタグルの転売が横行してたからメルカリスタジアムはピッタリ」や「メルカリスタジアムで転売の聖地完成」と、過去の問題と新愛称を結びつける皮肉が飛び交っています。
これらの事例は、スタジアムがサポーターの「聖地」であるべきという意識と、転売による利益追求の対立を浮き彫りに。
メルカリのネーミングライツ取得が、こうした歴史を呼び起こし、「転売スタジアム」の揶揄を後押ししたと考えられます。

日本社会の転売に対するネガティブな感情
日本では、転売行為が「不公平」「モラル欠如」と見なされる文化的背景があります。
2021年、広島カープのマツダスタジアムで年間シートホルダーが不正転売で逮捕された事件や、2025年3月のMLB開幕戦チケット転売問題が社会的な反発を呼びました。
スポーツやエンタメのチケット・グッズは、ファンにとって「体験の共有」を象徴するものであり、転売による高額化は「真のファン」を排除すると批判されます。
Xでは、「スタジアムの名前が転売されちゃった」や「メルカリスタジアムは転売ヤーの祭典」と、ネーミングライツ自体を「スタジアムの転売」と比喩する投稿が目立ちます。
この感情は、メルカリが2019年から鹿島の親会社であるにもかかわらず、サポーターの一部がメルカリを「外部の営利企業」と見なす意識ともリンク。
転売への社会的不信が、新愛称への抵抗感を増幅させています。

メルカリのブランドイメージと対策
メルカリは「価値の循環」をミッションに掲げ、転売批判を払拭するため、偽ブランド品のAI検知や不正出品の削除を強化しています。
2025年6月19日の発表では、「地域社会への深いコミット」と「テクノロジー活用による観戦環境の向上」を強調。
例えば、メルカリアプリを通じたチケット販売の透明化や、スタジアム内のキャッシュレス化を計画。
しかし、Xでは「メルカリのミッションがどう反映される?」と懐疑的な声があり、転売問題のイメージ払拭が課題に。
メルカリの山本真人さんは、「伝統にリスペクトを抱き、エッセンスを加える」とコメントしましたが、転売批判の根深さが新愛称の受け入れを難しくしています。
Xの「メルカリスタジアム(メルスタ)になりました!のニュース読んだ瞬間『転売スタジアム(転スタ)やん』と思った」は、こうしたギャップを象徴しています。

Xでの「転売スタジアム」揶揄を細かく分析すると、以下の動機や感情が見られます:
- 皮肉とユーモア:「メルカリスタジアムで大活躍した選手が次のウインドーで高値で買われていく事を『転売』と言います(言いません)」など、転売をネタにした軽い揶揄。
- 不信感と批判:「転売ヤーの巣窟メルカリを許さない」、「お米やSwitch2の転売で儲けた資金がスタジアム名に」と、メルカリのビジネスモデルへの反発。
- 伝統への愛着:「メルスタは伝統に合わない」(間接的感情、)、「カシマサッカースタジアムであって、メルカリスタジアムなんて死んでも言わない」と、スタジアムの歴史へのこだわり。
- 地域アイデンティティの懸念:「茨城色を消した? 県民に謝れよ」と、愛称の地域性希薄化への不満。
これらの反応は、メルカリのブランドイメージとカシマスタジアムの文化的価値の衝突を反映。
サポーターの「聖地」意識と、企業ブランディングのギャップが、揶揄の多様性を生んでいます。

カシマスタジアムの新愛称の背景
カシマスタジアムは1993年のJリーグ開幕時に開業し、鹿島アントラーズの20タイトル獲得や2002年W杯、2021年東京五輪の舞台となる歴史あるスタジアムです。
メルカリは2019年から鹿島の親会社であり、今回のネーミングライツ契約は3年間、年間1.5億円(総額4.5億円)で、2025年7月1日から2028年6月30日まで適用されます。
正式名称「茨城県立カシマサッカースタジアム」は維持され、愛称「メルカリスタジアム」はJリーグやイベントで使用されます。
メルカリは、「覚えやすく、呼びやすい愛称」と「地域社会への深いコミット」を目指し、スタジアム内外で「価値の循環」を体験できる施策を計画。
具体的には、フリマアプリ連携やキャッシュレス化など、テクノロジー活用による観戦環境の向上を掲げています。
茨城県の大井川和彦知事は「ネーミングライツ収入を維持管理に充て、経済効果を期待」とコメント。
鹿島の小泉文明社長も「伝統を守りつつ、テクノロジーで観戦環境を改善」と意気込みを語っています。

Xでの賛否両論
Xでは、「メルカリスタジアム」の発表直後から賛否両論が飛び交いました。
支持する声としては、「メルスタは呼びやすくてポップ」や「メルカリのミッションが地域に活きそう」が挙げられます。一方、批判的な意見は以下のように多岐にわたります:
- 転売イメージの不信感:「お米やSwitch2の転売、偽ブランドの販売で儲けた資金がスタジアム名に」、「スタジアムの名前が転売されちゃった」。
- 伝統とのギャップ:「メルスタは伝統に合わない」「カシマの歴史にそぐわない」(間接的感情、)。
- 地域性の希薄化:「茨城色を消した? 県民に謝れよ」。
一部サポーターは「正式名称が残るから安心」と安堵する一方、「国際大会以外はメルカリスタジアムしか使われない」と愛称の浸透を懸念する声も。
転売問題に加え、スタジアムの歴史や地域アイデンティティとのバランスが議論の焦点となっています。

転売批判とメルカリのイメージ
メルカリに対する「転売スタジアム」の批判は、過去の転売問題とも関連しています。
2025年5月、メルカリの「転売ヤー」批判を巡るネット上の誹謗中傷で賠償命令が出た事件が、転売イメージを増幅。
カシマスタジアムでも、2014年のJリーグ公式投票で人気1位の「もつ煮」などスタグルの転売が問題視された歴史があり、Xで「メルカリスタジアムは転売の聖地」と揶揄される一因に。
これに対し、メルカリは「価値の循環」をミッションに掲げ、転売批判を払拭する地域貢献策を打ち出す姿勢を示しています。

伝統と新愛称のバランス
カシマスタジアムは、鹿島アントラーズの20タイトルを支えた「聖地」として、サポーターの誇りです。
1997年のJリーグヤマザキナビスコカップ初優勝など、歴史的な瞬間が生まれた場所。
新愛称「メルカリスタジアム」は、93年開業以来初の変更であり、伝統とのギャップが議論に。
Xでは、「メルカリのブランド戦略がカシマの歴史に合わない」との声がある一方、「テクノロジーで新たな価値を」と期待する意見も。
正式名称の維持が、伝統尊重の妥協点と見られています。

インタビューの引用
「県としては、ネーミングライツ収入をスタジアムの維持管理費用に充てることにより、県民・サポーターが安心して利用・応援できるような環境整備に活用していくほか、ネーミングライツの広告効果や、メルカリグループのスタジアム運営や地域社会へのコミットにより、本県にさらなる経済効果をもたらすことを期待しています」(茨城県 大井川和彦知事、2025年6月19日)
「このたび、茨城県および鹿島アントラーズとスタジアムのネーミングライツの契約に合意できたことを大変光栄に思っております。Jリーグ開幕時から数々の歴史を創り上げてきたこのスタジアムに受け継がれる熱量や伝統に大きなリスペクトを抱いています」(メルカリ 山本真人執行役、2025年6月19日)
「今後もクラブの伝統を守りつつも、さらなる変革が必要であると考えています。テクノロジーを活かした観戦環境における安心・安全性と利便性の追求を目指し、クラブに関わる全てのステークホルダーの方々や、メルカリ社とも協力しながら、このスタジアムが地域にとって誇りであり続け、持続的に発展していくことに貢献していきたい」(鹿島 小泉文明社長、2025年6月19日)

さいごに
メルカリスタジアムが「転売スタジアム」と揶揄される背景には、メルカリの転売ビジネス批判とカシマスタジアムのスタグル転売問題が重なり、Xで賛否両論を巻き起こしました。
年間1.5億円のネーミングライツは地域経済への貢献を約束しますが、伝統あるカシマスタジアムの歴史とのギャップが議論の核心に。
メルカリのテクノロジー活用や地域活性化策が、批判を払拭し、サポーターの心をつかめるかが今後の焦点です。
7月1日の愛称変更後、スタジアムの新たな物語がどう紡がれるか、注目が集まります。
