北海道釧路市の釧路湿原周辺で、日本エコロジーさんが進めるメガソーラー建設計画が、森林法違反の疑いで大きな議論を呼んでいます。
国の特別天然記念物であるタンチョウやオジロワシが生息する貴重な自然環境での開発は、環境破壊への懸念を強めています。
それでも日本エコロジーさんが事業継続を表明する背景には、どのような理由があるのでしょうか。
この記事では、問題の経緯や日本エコロジーさんの主張、行政や市民の反応を整理し、その理由を探ります。
この記事のまとめ
- 日本エコロジーさんは、釧路湿原周辺で21MW規模のメガソーラー建設を進めています。
- 森林法違反(許可なく0.86haの森林を開発)で北海道から工事中止勧告を受けました。
- 日本エコロジーさんは「多額の投資」を理由に事業継続を表明しています。
- 環境団体や市民は、タンチョウなどの希少種保護を訴え、11万超の反対署名が集まっています。
- 釧路市は条例制定を進め、環境保護と再生可能エネルギーの両立が課題となっています。
なぜ日本エコロジーさんは事業継続を強行するのか?
日本エコロジーさんが事業継続を強行する最大の理由は、松井政憲社長さんが述べた「かなりの投資をしている」という経済的背景です。
2025年9月9日、松井社長さんは釧路市内で記者団の取材に応じ、「かなり投資しており、立ち止まることはできない。市と協議して進めたい」と発言しました。
この発言は、事業に投じた資金の回収やプロジェクトの進行を優先する姿勢を示しています。
同社は当初、27ヘクタールの土地に約36,500枚のソーラーパネルを設置する計画を進めていましたが、オジロワシの営巣地問題で規模を縮小し、現在は4.3ヘクタールに6,600枚のパネルを設置する計画に変更しています。
それでも、投資額の大きさが事業継続の強い動機となっているようです。
松井社長さんは、自民党議員らに対して「境界の誤認で切りすぎてしまったことに対しては謝罪させていただきたい」と述べ、違法部分の是正を約束しました。
しかし、「それ以外の区域については違反していないので、事業そのものを取りやめる予定はない」とも語っており、法的問題が解決すれば事業を進める意向を明確にしています。
この姿勢は、再生可能エネルギー推進と経済的利益を優先する考えに基づいていると考えられます。
釧路湿原メガソーラー問題の経緯
釧路湿原周辺でのメガソーラー建設は、2020年の再生可能エネルギー推進政策や規制緩和を背景に始まりました。
釧路湿原は寒冷地ながら積雪が少なく、日射量が多い地域で、太陽光発電に適しているとされています。
しかし、国の特別天然記念物のタンチョウやオジロワシ、キタサンショウウオなどの希少種が生息するエリアでの開発は、環境破壊の懸念を引き起こしました。
2025年6月、釧路市は「ノーモアメガソーラー宣言」を発表し、自然環境との調和を重視する姿勢を示しました。
同年8月、道と釧路市が現地調査を行い、日本エコロジーさんが0.5ヘクタールを超える森林を許可なく開発していたことが判明。
森林法では、0.5ヘクタール以上の森林開発には都道府県知事の許可が必要ですが、同社は0.86ヘクタールの開発を無許可で進めていました。
これを受け、北海道は9月2日に違法区域での工事中止を口頭で勧告しました。
環境への懸念と市民の反応
釧路湿原は、日本を代表する国立公園であり、タンチョウやオジロワシの生息地として国際的に重要な湿地です。
メガソーラー建設による生態系への影響が懸念され、市民団体は11万を超える反対署名を集めました。
Xのポストでは、「企業としての社会的責任を果たしてほしい」「エコではなくエゴ丸出し」といった批判が相次いでいます。
また、環境団体は、オジロワシの営巣地やキタサンショウウオの生息地への影響を指摘し、事業の中止を強く求めています。
釧路市立博物館は、日本エコロジーさんが依頼したタンチョウ保護研究グループの調査が不十分として再調査を求めましたが、同社はこれに応じず工事を開始しました。
この対応に対し、市民からは「自然回復の責任を取るべき」といった声も上がっています。
行政の対応と今後の課題
釧路市は、無秩序なメガソーラー開発を防ぐため、2025年8月に「釧路市自然と共生する太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」を策定しました。
さらに、9月4日には、10キロワット以上の太陽光発電施設を許可制とする条例案を市議会に提出。
北海道の鈴木直道知事さんは、「北海道の貴重な財産である森林が失われたことは大変遺憾。許容できない」と述べ、是正措置の徹底を表明しました。
一方、環境省の浅尾慶一郎大臣さんは、「地域の意見を関係省庁に共有し、国として対応を検討したい」とコメントしています。
再生可能エネルギー推進と自然保護の両立は、全国的な課題であり、釧路湿原のケースは今後の法整備やガイドライン策定に影響を与える可能性があります。
さいごに
日本エコロジーさんが釧路湿原でのメガソーラー事業を継続する背景には、多額の投資と再生可能エネルギー推進の目標があるものの、森林法違反や生態系への影響が大きな問題となっています。
市民や行政の強い反対に直面しながら、事業継続を強行する姿勢は、企業としての社会的責任や自然保護とのバランスをどう取るかという難しい課題を浮き彫りにしています。
今後、釧路市や北海道の規制強化や、地域住民との対話を通じて、持続可能な解決策が見出されることが期待されます。

