米ディズニーの名作アニメ「白雪姫」の実写版が、公開からわずか1カ月半で日本を含む世界各地で上映打ち切りとなり、165億円(1億1500万ドル)の赤字が報じられています。
この異例の不振は、ディズニーの実写リメイク作品としては異例の事態です。
なぜこの映画は打ち切りに至り、巨額の赤字を生んだのでしょうか? 本記事では、その原因を詳しく探ります。
- 米ディズニーの「白雪姫」実写版は、日本で大型連休前に上映打ち切りとなり、165億円の赤字が予想されています。
- 主な原因として、キャスティング論争、主演レイチェル・ゼグラーさんの物議を醸す発言、興行収入の低迷、制作費の高騰が挙げられます。
- 特に、原作改変や多様性重視の配役に対する批判が、ファン離れを招いた可能性があります。
- ディズニーのブランド戦略や今後の実写化作品への影響も注目されています。
なぜ米ディズニーの白雪姫実写版は打ち切りになったのか?
米ディズニーの「白雪姫」実写版は、2025年3月20日に公開されたものの、日本では大型連休(ゴールデンウィーク)前に上映を打ち切る映画館が続出しました。
産経ニュースによると、4日に関東地方のシネマコンプレックスで係員が「白雪姫はもう上映していないですね」と語ったように、公開からわずか1カ月半での打ち切りは異例です。
興行収入の低迷が主な理由です。米ボックス・オフィス・モジョによると、5月4日時点で米国内の興行収入は8612万ドル、米国外では1億1444万ドルにとどまり、期待された1億ドル(米国内)や1億2500万ドル(米国外)を下回りました。
この不振は、観客の関心が薄かったことを示しています。
また、Xの投稿では、公開時期が「コナンやドラえもん、しんちゃんといった人気作品と重なった」ことも日本での不振の一因と指摘されていますが、1カ月半での打ち切りは通常の映画館のスケジュールを超える早さです。

165億円の赤字の原因は何か?
キャスティングとレイチェル・ゼグラーさんの発言
実写版「白雪姫」は、公開前からキャスティングを巡る議論が過熱しました。
原作で「雪のように白い肌」と描写される白雪姫役に、コロンビア系米国人のレイチェル・ゼグラーさんが起用されたことが物議を醸しました。
ゼグラーさんは「ラテン(中南米)系米国人」を自認しており、伝統的なイメージとの違いに批判が集まりました。
さらに、ゼグラーさんが原作の王子さまを「ストーカー」と呼び、ストーリーを現代風に改変したことがファンから反発を招きました。
産経ニュースは、こうした「物議を醸す発言」が公開前の不安を増幅させたと報じています。
Xの投稿でも、「原作に攻撃的な主人公とストーリーの破綻」が不評の原因と分析されており、原作へのリスペクト不足が指摘されています。

高額な制作費と収入のギャップ
米芸能ニュースサイト「DEADLINE」によると、制作費と販売促進費の総額は4億1000万ドル(約590億円)に上り、グッズ販売を含む収入予想は2億9500万ドルにとどまりました。
この結果、1億1500万ドル(約165億円)の赤字が予想されています。
別の報道では、製作費だけで2億7000万ドル(約390億円)、販促費に1億7000万ドル(約250億円)が投じられたとも伝えられており、ディズニー史上最大級の赤字リスクが指摘されていました。
この高額なコストに対し、興行収入が予想を大幅に下回ったことが赤字の主要因です。

原作改変とポリコレへの批判
実写版「白雪姫」は、多様性・公平性・包括性(DEI)を重視した改変が特徴でした。
しかし、これが逆効果となり、原作ファンの離反を招いたとされます。東洋経済オンラインは、「ポリコレ配慮で古典を今の時代に合わせる無理筋」が不振の原因と分析。
Xの投稿でも、「ポリコレの嵐」や「改変が酷く、昔のアニメとは別物」との声が上がり、物語の魅力不足が批判されました。
ハフポストは、「配役への差別的な批判だけではない」として、ストーリーやCGの質、脚本の説得力不足も不評の要因だったと報じています。
特に、「白雪姫が美人に見えない」「話の説得力がない」といったコメントが、観客の失望を象徴しています。

興行収入の低迷と競合作品の影響
公開初週末の北米興行収入は4300万ドル(約64億円)で、ディズニーの他作品(『美女と野獣』1億7475万ドル、『リトル・マーメイド』9557万ドル)に比べ最低水準でした。
日本でも、公開4日間の興行収入は3.2億円と振るわず、競合作品との競争に敗れた形です。
ブルームバーグは、業界予想(4500万~5500万ドル)を下回った原因として、作品への否定的な反応や批判が公開前に広がったことを挙げています。
Xでは、「誰が観るんだよ」「ストーリーが全く頭に入ってこない」との声が、観客の関心の低さを物語っています。

ディズニーのブランド戦略への影響
この不振は、ディズニーの実写リメイク戦略に影を落としています。
産経ニュースによると、「白雪姫」の失敗を受け、ディズニーは「塔の上のラプンツェル」の実写版制作を中断したと報じられています。
また、プレジデントオンラインは、2023年の『リトル・マーメイド』や『ウィッシュ』も興行不振だったことを挙げ、「ディズニー離れ」の兆候を指摘しています。
Xの投稿では、「何の責任も持たずに文句を言ってた奴等に迎合した結果」と、ディズニーのマーケティングやポリコレ重視の姿勢への批判も見られます。
ディズニーが今後、原作尊重と現代的価値観のバランスをどう取るかが注目されます。

さいごに
米ディズニーの「白雪姫」実写版は、キャスティング論争、レイチェル・ゼグラーさんの発言、原作改変への批判、高額な制作費、そして興行収入の低迷が重なり、165億円の赤字と早期打ち切りという厳しい結果に終わりました。
ディズニーの実写リメイクはこれまで成功を収めてきましたが、今回の失敗は、ファン心理や市場の期待を軽視した戦略の限界を示しています。
今後、ディズニーがどのように信頼を回復し、次の作品で巻き返すのか、注目が集まります。
