熊本県と言えば、愛らしいゆるキャラ「くまモン」が全国的に有名です。
県の名前にも「熊」がつき、くまモンが元気いっぱいにPR活動をしているのに、実は熊本県には野生の熊がいないという話を耳にしたことはありませんか?
この記事では、熊本県に野生の熊がいない理由と、くまモンがなぜ誕生したのか、その背景にある地域の秘密を探ります。
この記事のまとめ
- 熊本県を含む九州には、野生のツキノワグマが絶滅したとされています。
- 歴史的な狩猟や環境変化が、九州の熊の絶滅に関係している可能性があります。
- くまモンは、熊本県のPRキャラクターとして2010年に誕生し、観光振興に大きく貢献しています。
- 熊本県の名前は「熊」とは直接関係なく、「隈本」に由来します。
熊本県に野生の熊は本当にいないの?
熊本県を含む九州地方では、野生のツキノワグマが生息していないとされています。
環境省のレッドリスト(2007年)では、九州のツキノワグマは「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」に分類されており、熊本県では「野生絶滅種(EW)」とされています。
宮崎県総合博物館の竹下隼人さん(主査)は、「2012年に環境省が九州のクマの絶滅を宣言しました」と述べています。
最後の確実な目撃情報は、1987年に大分県で射殺されたツキノワグマで、その個体は遺伝子解析により福井や岐阜県のクマと一致しました。
つまり、九州固有の野生の熊はいないと考えられています。
ただし、近年でも登山者などから熊の目撃情報が報告されることがあり、専門家の間では本州から持ち込まれた可能性も議論されています。
なぜ九州に熊がいなくなったの?
九州に野生の熊がいなくなった理由は、はっきりとは特定されていません。
歴史的には、江戸時代中期以前の文献が少なく、詳細な状況は不明です。
しかし、野生動物保護管理事務所の中川恒祐さんは、江戸時代に鉱山開発や焼畑農業が盛んだったことが、ツキノワグマの生息地を狭めた可能性を指摘しています。
鉱山開発による森林伐採や、煙害、鉱毒水が自然環境に影響を与えた可能性があります。
また、熊胆(ゆうたん)などの取引を目的とした狩猟も、熊の減少に影響したと考えられます。
戦後の拡大造林など、近年の環境変化とは無関係とされていますが、シカによる下層植生の消失が、もし熊がいた場合の餌環境に影響を与える可能性も指摘されています。
くまモンはどうやって生まれたの?
野生の熊がいないのに、なぜくまモンが熊本県のシンボルになったのでしょうか?
くまモンは、2010年に九州新幹線全線開通を機に始まった「くまもとサプライズ」キャンペーンのPRキャラクターとして誕生しました。
脚本家の小山薫堂さんが発案し、デザイナーの水野学さんがキャラクターを提案しました。
水野さんは、キャンペーンロゴの依頼を受けた際に、「キャラクターがあった方が効果的」と自主的にくまモンをデザインしました。
熊本県の蒲島郁夫さん(当時の知事)の決断により、くまモンは公式キャラクターに採用されました。
くまモンの黒い色は熊本城の黒漆や柿渋を、赤いほっぺは「火の国」熊本をイメージしています。
2011年のゆるキャラグランプリで優勝し、経済効果は2012年だけで約293億円に上りました。
熊本県の名前の由来は?
熊本県の「熊」は、野生の熊とは関係ありません。
一般的には、南北朝時代に「隈本」と呼ばれていた地域が由来とされています。
1607年、加藤清正さんが築城した際に「熊本」と改められたとされています。
「隈」の字には「畏(おそれる)」という意味が含まれ、縁起を担いで「熊」に変えたという説があります。
つまり、県名と野生の熊は直接的なつながりがないのです。
くまモンが愛される理由
くまモンは、熊本県の知名度向上に大きく貢献しています。
熊本県の成尾雅貴さん(くまもとブランド推進課長)は、くまモンの成功について、「関西での人気が高まったことが大きかった」と語っています。
新幹線開業前の大阪でのイベントで、くまモンのサイン会に長蛇の列ができたことが転機だったそうです。
くまモンのグッズは、ぬいぐるみからラーメン、ICカードまで多岐にわたり、2021年の売上高は約205億円に達しました。
熊本県民の98.2%が自宅にくまモン商品を持っているという調査結果もあり、県民の愛着も深いです。
さいごに
熊本県に野生の熊がいないという事実は、歴史や環境の変化によるものだと考えられています。
一方で、くまモンは野生の熊の不在を補うように、熊本県の魅力を全国に発信し続けています。
くまモンの活躍は、熊本の文化や観光を愛する人々の心をつなぐ架け橋です。
これからも、くまモンが「火の国」熊本のサプライズを届けてくれることを楽しみにしましょう!

