なぜ経団連が喜ぶ高市首相の労働規制緩和なのか? 自民党が推進する「定額働かせ放題」の本当の狙い

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2026年2月17日、朝日新聞が報じたところによりますと、高市首相は特別国会の施政方針演説で裁量労働制の見直しを表明する方向で調整を進めているそうです。このニュースは、昨年10月に高市首相が厚生労働大臣に対して指示した労働時間規制の緩和検討が、具体的な政策として動き出したことを示しています。経団連をはじめとする経済界が長年求めていた内容であり、多くの労働者の方が「なぜ今、こうした緩和なのか」と関心を寄せています。本記事では、信頼できる報道や公式資料に基づき、事実を整理しながら解説いたします。

この記事のまとめ

  • 高市首相は2月20日の施政方針演説で、裁量労働制の見直しを表明する予定です。
  • 見直しの背景には、経済成長戦略の一環として対象業務の拡充が念頭に置かれています。
  • 経団連は健康への十分な配慮を前提に、柔軟で自律的な働き方を可能とする労働時間法制の見直し(裁量労働制の拡充)を求めています。
  • 自民党・高市政権の公式な狙いは、労働者の方々の声を踏まえた働き方の多様化と生産性向上です。
  • 一方で、専門家からは長時間労働の傾向や企業側の残業代節約目的という懸念が指摘されています。
  • 今後の国会審議では、労働者保護と経済成長のバランスが重要なポイントとなります。

なぜ経団連が高市首相の労働規制緩和を喜ぶのか

経団連が高市首相の今回の動きを歓迎している理由は、長年にわたる同団体の政策提言と一致するからです。経団連は2025年11月の「高市内閣に望む」提言の中で、「健康への十分な配慮を前提とした、柔軟で自律的な働き方を可能とする労働時間法制への見直し(裁量労働制の拡充)」を明確に求めています。

これは、人手不足が深刻化する中、専門性の高い業務で労働者が自分で時間配分を決められる仕組みを広げ、企業の生産性を高めたいという考えに基づいています。経団連のこれまでの報告書でも、裁量労働制の対象業務について、過半数労働組合のある企業で労使が話し合って決められる仕組み(デロゲーション)の創設を繰り返し主張してきました。2026年の春季労使交渉に向けた動きの中でも、こうした柔軟な制度が経済成長を後押しすると位置づけられています。

高市首相の指示が昨年10月に出された直後から、経団連はこれを「時宜を得た検討」と評価する姿勢を示していました。労働時間の上限規制が厳しい現状では、受注機会を逃す企業が増えているという現場の声に応える形になるとの見方が強いようです。つまり、経団連にとっては「働きたい人がもっと働ける環境整備」と「企業競争力強化」の両方が叶う政策として、喜ばしい内容なのです。

高市首相の施政方針演説原案で明らかになった裁量労働制見直しのポイント

施政方針演説の原案では、次のように記載されています。「働き方改革の総点検においてお聞きした労働者の方々の声を踏まえ、裁量労働制の見直し」を打ち出すとあります。これは、2019年に導入された時間外労働の上限規制を含む働き方改革全体を見直す中で、裁量労働制に焦点を当てるというものです。

裁量労働制とは、実際の労働時間ではなく、あらかじめ定めた時間(みなし時間)で賃金を支払う制度です。専門業務型や企画業務型などに適用され、労働者が自分の裁量で仕事の進め方を決められる点が特徴です。高市首相は就任直後に「労働時間規制の緩和検討」を指示し、国会答弁でも「残業代が減ることによって生活費を稼ぐために無理をして慣れない副業をする」ことを心配する一方で、「働き方改革見直しの検討を深めていくべき」と意欲を示していました。今回の表明は、その具体策として位置づけられています。

自民党が推進する政策の公式狙いと「定額働かせ放題」という表現の背景

自民党・高市政権が推進する狙いは、公式には「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした」労働時間規制の緩和です。衆院選で自民党が圧勝した背景にも、柔軟で多様な働き方を求める声があったとされています。人手不足で仕事が回らない企業や、「もっと働いて稼ぎたい」という労働者の方々のニーズに応えるためだと説明されています。

しかし、こうした制度が批判的に「定額働かせ放題」と呼ばれることがあります。これは、みなし時間で固定賃金が支払われるため、実際には長時間働いても追加の残業代が出にくい仕組みを指した表現です。雇用・労働政策研究者の今野晴貴さんは、報道の中で次のように指摘しています。「裁量労働制を適用されている労働者は、普通の労働者よりも長時間労働の傾向が統計的にある。そもそも、あらかじめ定めた時間はたらいたものと『みなす』制度であるため、あたかも『定額働かせ放題』のように無理なノルマを課す事業主が後を絶たない」「企業側の多くは残業代の節約のために裁量労働制を適用するのだから、まったく逆方向の結果になる」。

この指摘は、過去のデータでも裏付けられており、企画業務型では営業職など残業の多い職種への拡大が懸念された経緯があります。自民党としては、こうした批判を踏まえつつも、経済成長戦略の一環として進めているのです。

働き方改革のこれまでと高市政権の違い

2018年の働き方改革関連法では、裁量労働制の対象拡大がデータねつ造問題で頓挫しました。それ以降、労働時間の上限規制が定着し、過労死防止の観点から厳格に運用されてきました。一方、高市政権では「働いて働いて働いてまいります」という高市首相の決意表明に象徴されるように、規制の「行き過ぎ」を検証し、柔軟化する方向に舵を切っています。

自民党の衆院選後のアンケートでも、労働規制緩和派が約6割を占め、国会での後押しが強まる見通しです。ただし、連合など労働者側は「逆行するような発言」と懸念を表明しており、審議では健康確保措置の強化が焦点になると予想されます。

さいごに

高市首相の労働規制緩和は、経団連が長年求めてきた裁量労働制拡充を実現する可能性を秘めています。自民党が推進する政策の狙いは、経済成長と労働者の選択の拡大にありますが、専門家が指摘する長時間労働のリスクも無視できません。今後の国会審議や制度設計では、労働者の方々の健康と権利がしっかり守られるよう、国民の皆様も注視していきましょう。働き方の未来を考える良い機会になれば幸いです。

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