最近、J-POPシーンで人気急上昇中の3人組ユニットNumber_iさんが、新曲「幸せいっぱい腹一杯」の歌詞で物議を醸しています。NHKの音楽番組『Venue 101 Presents Number_i THE LiVE』で披露されたこの曲は、明るいメロディーで「幸せ」をテーマにしていますが、歌詞の一節「他力本願な思考はポカホンタス」が、ネイティブアメリカンの女性ポカホンタスさんを連想させる表現として、差別的だと指摘されています。この問題がなぜ今、大きな炎上を呼んでいるのか。歴史的背景や専門家の見解を基に、丁寧に解説します。
この記事のまとめ
- Number_iさんの新曲「幸せいっぱい腹一杯」の歌詞「他力本願な思考はポカホンタス」が、ネイティブアメリカンのポカホンタスさんを軽視した差別表現としてSNSで炎上中です。
- ポカホンタスさんは実在の人物で、植民地時代に先住民を象徴する存在ですが、ディズニー映画の影響でロマンチックに描かれ、実際の悲劇的な歴史が無視されがちです。
- アメリカではこの言葉の安易な使用が、先住民へのステレオタイプを助長するとされ、注意が必要です。
- 専門家である遠藤泰生客員教授は、文化的配慮の重要性を指摘しています。
- TOBE事務所は歌詞の意図を説明し、差別意図がないことを強調していますが、歌詞変更の可能性も議論されています。
Number_i新曲の歌詞で何が問題になったのか
Number_iさんの新曲「幸せいっぱい腹一杯」は、2025年9月にリリースされたアルバム『No.II』に収録された楽曲です。平野紫耀さんがプロデュースを手がけ、ポジティブなメッセージが込められたアップテンポのナンバーとして、ファンの間で好評を博していました。しかし、NHKの特別ライブで披露された後、歌詞の特定部分が注目を集めました。
問題のフレーズは、「他力本願な思考はポカホンタス」です。この表現は、他力本願を否定する文脈で使われていますが、「ポカホンタス」という言葉が、実在したネイティブアメリカンの女性ポカホンタスさんを指すため、軽率な使用だと批判されています。SNSでは、「ポカホンタスをこの文脈で持ってくるの大変にマズい。誰がこんな酷いもの書いたんだよ」といった声が相次ぎ、放送直後から炎上が広がりました。
この曲自体は、Number_iさんの魅力であるエネルギッシュなパフォーマンスと相まって、神戸でのライブでも大盛況でした。それだけに、歌詞のニュアンスがもたらした波紋は、ファンにとってもショックだったようです。
ポカホンタスさんの歴史的背景:なぜ差別表現と見なされるのか
ポカホンタスさんは、1595年頃に現在のアメリカ・バージニア州で生まれたポウハタン族の酋長の娘です。歴史的事実として、彼女は幼少期にイギリス人入植者ジョン・スミスを救ったエピソードで知られていますが、これは後世の伝説化された話が多く、実際の人生は悲劇的でした。17歳で強制的にイギリスに連れていかれ、キリスト教に改宗させられた後、病死しています。
この物語は、1995年のディズニー映画『ポカホンタス』でロマンチックに描かれましたが、専門家はこれを「植民地主義の視点から先住民を『遅れた』存在として描くステレオタイプ」と指摘します。アメリカでは、ネイティブアメリカンの文化や歴史を安易に消費する表現が、差別意識を助長するとされ、特に「ポカホンタス」という名前をスラング的に使うことは避けられる傾向にあります。日本では「アンポンタン」のような軽い響きで捉えられがちですが、グローバルな文脈では敏感な問題です。
アメリカ史を研究する関西国際大学の遠藤泰生客員教授は、SmartFLASHの取材に対し、こう語っています。「ポカホンタスは先住民と入植者の共存のシンボルとして語られますが、その裏側に『進んだ』キリスト教文明が先住民を誘導するという視点が見え隠れします。文脈を無視してこの言葉を使うと、先住民を『遅れた』民族と見下す差別的な印象を与えます。エンターテイメント業界では、こうした文化的配慮がますます重要です。」
この指摘は、なぜ今この表現が問題視されるのかを象徴しています。SNSのグローバル化により、海外の視点が即座に日本国内に波及する時代。Number_iさんのような国際的に活躍を目指すアーティストにとって、こうした無知がもたらすリスクは大きいのです。
なぜ今、炎上が拡大したのか:SNSと文化的グローバル化の影響
この問題が急速に広がった背景には、SNSの役割が欠かせません。NHK放送後、X(旧Twitter)上で「ポカホンタス 差別」「Number_i 歌詞問題」といったキーワードがトレンド入りし、国内外のユーザーが反応しました。例えば、「絶対これポカホンタスの歴史を知らずに使ってるでしょ」「海外かぶれの女はつり目でブスみたいな蔑称だよね」といった厳しい意見が飛び交いました。
一方で、擁護の声も一部にありました。「これは『ポカ』=失敗の言葉遊びで、他力本願を『ダメ』と表現しただけ」という解釈です。 しかし、歴史的文脈を考慮すると、こうした軽い意図が逆効果になるケースは少なくありません。
さらに、2025年現在、多文化共生の意識が高まる中、J-POPアーティストのグローバル展開が活発化しています。Number_iさん自身、海外公演も視野に入れた活動を展開しており、こうしたタイミングで起きた問題は、単なる国内騒動にとどまりません。ミセス・グリーン・アップルの「コロンブス」MV炎上事例のように、歴史的事象への配慮不足が繰り返される業界の課題を浮き彫りにしています。
TOBE事務所の対応と今後の展望
TOBE事務所は、SmartFLASHの取材に対し、迅速にコメントを発表しました。「歌詞は他力本願な思考を否定するポジティブなメッセージを意図したもので、差別的な意図は一切ありません。ポカホンタスさんの歴史的意義を尊重し、表現の配慮が不足していた点については、真摯に受け止めています。必要に応じて歌詞の見直しを検討します。」
インタビュー形式の詳細なものは見つかりませんでしたが、この回答はNumber_iさんのメンバーへの直接的なコメントではなく、事務所の公式見解です。平野紫耀さんをはじめとするメンバーは、ライブでこの曲を堂々と披露していましたが、炎上後、追加のコメントは控えめです。将来的に、歌詞変更や謝罪動画の可能性も指摘されています。
さいごに
Number_iさんの新曲をめぐるこの騒動は、エンターテイメントの楽しさと文化的責任のバランスを改めて考えさせる出来事です。ポカホンタスさんのような歴史的人物を扱う際は、単なる言葉遊びではなく、その背景を深く学ぶことが重要です。Number_iさんには、この経験を活かし、よりインクルーシブな表現でファンを魅了し続けてもらいたいと思います。皆さんも、音楽を楽しむ中で、多様な視点に触れる機会を増やしてみてはいかがでしょうか。ご意見があれば、コメントをお待ちしています。

