2025年11月、瀬戸内海の養殖カキが異例の大量死に見舞われていることが明らかになりました。広島県では一部地域で水揚げされたカキの9割がすでに死骸だった場所もあり、生産者は「こんなのは初めて」と困惑を隠せません。農林水産省や各県も迅速に対応を進めていますが、年末年始の需要期を前に価格高騰への懸念が広がっています。
この記事のまとめ
- 2025年秋、広島・岡山・兵庫の瀬戸内海で養殖カキが大量死
- 一部地域では死滅率8~9割、水揚げの9割が死骸という場所も
- 原因として最も有力なのは「海水温の高止まり+塩分濃度の異常上昇」
- 生産者からは「こんな被害は初めて見た」との声が相次ぐ
- 鈴木憲和農林水産大臣が東広島市を視察、斎藤元彦兵庫県知事も資金支援を表明
カキ大量死の原因は?農林水産省も指摘する「海水温高止まり+塩分濃度上昇」
現在、関係機関が最も有力視している原因は、長期間続いた海水温の高止まりと、それに伴う塩分濃度の異常上昇です。
これによりカキが生理的なストレスを受け、免疫力が低下して死に至ったとみられています。特に2025年の夏から秋にかけて、瀬戸内海の表層水温が平年を大きく上回る状態が続き、10月以降も30℃近い高水温が観測された地域がありました。
広島県水産課は「高水温と高塩分が重なると、カキのえらが機能しづらくなり、酸素欠乏や代謝障害を引き起こす」と説明。実際に被害が深刻な海域では塩分濃度が35パーミルを超える地点も確認されています。
「水揚げしたら9割が死骸だった」現地の衝撃
広島県のある養殖業者は、11月初旬の水揚げ作業で衝撃的な光景を目の当たりにしました。
「筏から上げてきたカキを開けたら、中身がほぼ真っ白。生きているのは1割もいない。30年以上この仕事をやっているけど、こんなのは初めてです」
別の業者は「今年は夏の暑さが異常に長く続いた。9月でも水温が28℃以上あったから、もうその頃からヤバいとは思っていた」と振り返ります。
岡山県でも同様の被害が報告されており、県の調査では一部海域で死滅率が90%に達した箇所も確認されました。
鈴木農林水産大臣が東広島市を異例の現地視察
11月19日、鈴木憲和農林水産大臣が東広島市安浦町の養殖現場を視察しました。
鈴木大臣は現地で生産者から直接話を聞き、「徹底的な原因究明を行うとともに、経営が継続できるよう必要な支援を講じる」と明言。国として早急に実態調査を進め、補償や融資の拡充を検討する方針を示しました。
生産者の一人は視察後、「大臣が自ら来てくれて、ちゃんと話を聞いてくれた。すごく心強い」と涙ながらに語りました。
兵庫県も迅速に対応 斎藤知事が資金支援を約束
兵庫県でも播磨灘を中心に深刻な被害が発生しています。
斎藤元彦知事は11月19日の会見で「8割がへい死している状況は極めて深刻」と述べ、資金繰り支援や低利融資などの対策を早急に講じる考えを表明。「出荷が軌道に乗る時期に現地を視察したい」とも語りました。
さいごに
瀬戸内海の養殖カキが経験したことのない規模の大量死は、気候変動による海水温上昇が現実的な被害として現れた一例と言えるかもしれません。
国や県が迅速に対応を始めたことは生産者にとって大きな希望ですが、根本的な原因が「異常気象」にある以上、来年以降も同様のリスクは残ります。
今後は耐高温性品種の開発や、養殖方法の見直しなど、中長期的な対策が急務となるでしょう。
カキ好きの皆さんにとっても、今年の冬は少し値が張るかもしれませんが、瀬戸内の生産者を応援する意味でも、ぜひ旬のカキを味わっていただければと思います。

