正月の風物詩として定着した箱根駅伝は、毎年高い視聴率を記録し、巨額の収益を生み出しています。
しかし、その収益がどのように使われ、各大学にどれだけ還元されているのかについては、ほとんど明らかになっていません。
特に、青山学院大学の原晋監督が繰り返し指摘するように、大学側への配分が少ないのではないかという疑問の声が上がっています。
この記事では、箱根駅伝の収益構造とその透明性について、既存の報道に基づいて探っていきます。
この記事のまとめ
- 箱根駅伝の主な収益源は日本テレビからの放映権料と協賛企業からのスポンサー料で、放映権料だけでも複数年で数十億円規模とされる。
- 主催の関東学生陸上競技連盟(関東学連)は詳細な収支を公開しておらず、大学側からは収益の透明性と配分の少なさを疑問視する声が多い。
- 青山学院大学の原晋監督は、自著やインタビューで巨額収益が大学に十分還元されていないと指摘し、仕組みの改善を求めている。
- 支出面では大会運営費、特に警備費用や人員配置が膨大で、収益の多くがこれに充てられている可能性がある。
- 大学への直接的な配当金は少なく、強化費の格差拡大や監督報酬の上昇につながっている一方で、全体の透明性向上が求められている。
箱根駅伝の収益構造は公開されるべきか
箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟(関東学連)が主催し、読売新聞社が共催、日本テレビが特別後援という形で運営されています。
毎年、往路・復路ともに平均視聴率が28%前後を記録する国民的イベントですが、その収益の詳細はほとんど公開されていません。
報道によると、日本テレビから関東学連に入る放映権料は複数年契約で数十億円規模に上るとされています。
一方で、協賛企業からの収入も大きく、特別協賛のサッポロホールディングスをはじめ、ミズノ、トヨタ自動車、セコムなどの大手企業が名を連ね、広告効果は60億円相当とも言われています。
しかし、これらの巨額マネーがどこに流れているのか、大学側への配分が適切なのかについては不透明です。
関東学連の公式サイトを見ても、予算や決算の詳細は公開されておらず、関係者からも透明性の欠如を指摘する声が上がっています。
原晋監督が疑問視する大学への配当金
青山学院大学の原晋監督は、長年この問題に言及してきました。
2023年に出版した自著『最前線からの箱根駅伝論』で、「お正月にあれだけの視聴率を取る箱根駅伝ですが、いったいどれくらいの収益をもたらしているのでしょうか」と疑問を投げかけています。
さらに、過去のインタビューでは、日本テレビから関東学連に入るお金が年間3億円ほどだと聞き、「毎年30%近い視聴率をとるコンテンツで3億円は、さすがにおかしいのではないでしょうか」と指摘。
収益が各大学にきちんと分配される仕組みがないことを問題視しています。
原監督の指摘は、大学スポーツの強化費格差にもつながっています。
箱根駅伝で上位を狙えるチームは企業スポンサーから数千万円の支援を受けられる一方で、下位校や予選落ち校は資金不足に苦しむケースが増えています。
原監督は、こうした状況を改善するため、収益の公平な分配を求めています。
莫大なCM収入と日本テレビの役割
箱根駅伝の中継を独占的に行う日本テレビは、CM収入で大きな収益を上げています。
高視聴率の正月特番として、スポンサー企業にとって魅力的な広告枠であり、CM料金も高額です。
一方で、日本テレビは放映権料として関東学連に支払いを行っていますが、その額が視聴率に見合っているかどうかが議論の的となっています。
過去の報道では、メディア側が不当に儲けているのではないかという疑念も指摘されています。
日本テレビは長年、箱根駅伝の全国生中継を支えてきましたが、収益の多くが放送局側に残る構造が、大学側の不満を招いているようです。
膨大な制作・運営費用と警備の現実
収益の一方で、支出も莫大です。特に大会運営費が大きく、217kmのコースに数千人の走路員や警備員を配置する必要があります。
警視庁と神奈川県警の警察官約2000人に加え、警備会社セコムのスタッフ400人、学生補助員1800人、審判員2000人以上が動員されます。
これらの人件費や交通費、食事代などはすべて大会予算から支出され、セキュリティー強化の影響で年々増加しています。
また、中継所の設営や機材費も含め、運営管理費が収益の多くを占めているとみられます。
こうした費用がかかるため、大学への直接配分が限定的になる理由の一つとなっていますが、詳細な内訳が公開されていないため、効率的な使い方がされているのか疑問視されています。
大学側的不満と今後の課題
大学関係者からは、収益構造への不信感が強まっています。
アメリカの大学スポーツでは、放映権料の分配を巡る訴訟が起き、選手への報酬支払いが容認される動きもありました。
日本でも、箱根駅伝の収益が選手の強化環境向上に十分活用されていないという声があります。
強豪校では監督の報酬が上昇し、プロ監督の年俸が1000万円を超えるケースも出てきましたが、これは収益の一部が間接的に還元されている形です。
しかし、全体として大学への配当金が少ないままでは、格差が拡大するだけです。
さいごに
箱根駅伝は、選手たちの努力と視聴者の応援で成り立つ素晴らしいイベントです。
原晋監督をはじめとする関係者の指摘は、収益の透明性を高め、より多くの大学が公平に強化できる環境を作るためのものです。
関東学連が収支報告を公開し、配分仕組みを見直すことで、箱根駅伝はさらに発展するでしょう。
国民的行事として愛される大会が、長く続くことを願います。

