2025年6月3日、読売ジャイアンツ終身名誉監督である長嶋茂雄さんが89歳で亡くなりました。
この訃報を受け、落語家の立川志らくさんが自身のXで追悼コメントを投稿しましたが、長嶋茂雄さんを「長嶋」と呼び捨てにしたことで一部から批判が寄せられました。
本記事では、志らくさんの呼び捨て発言をめぐる議論と、その背景にある敬称略の考え方について、インタビュー記事や関連情報を基に考察します。
- 立川志らくさんが長嶋茂雄さんを「長嶋」と呼び捨てにした投稿が、失礼だと一部で批判されました。
- 志らくさんは「スターは敬称略が礼儀」と持論を展開し、知り合いや直接会う場合は敬称を使うと説明しています。
- SNS上では賛否両論が巻き起こり、敬称略を支持する声と不敬と感じる声が対立しています。
- 長嶋茂雄さんの功績や人柄に関するエピソードも、議論の背景として注目されています。
- 呼び捨ての是非は、日本の敬称文化や個人の価値観に深く関わる問題です。
志らくの呼び捨ては失礼?賛否両論の背景
立川志らくさんは、長嶋茂雄さんが亡くなったことを受け、Xで次のように追悼しました。
「長嶋が亡くなった。ミスターの引退試合は我らが中日戦。家でテレビで見ていた。最後に観たのがメジャーのメッツとの試合。後楽園球場。外野席から。1番サードで出場していた。お会いしたのは談志とテレビで対談した時とバラエティでインタビューした時の二度。楽しかった。ご冥福をお祈りします」
この投稿に対し、一部ユーザーから「長嶋さんを呼び捨てとは何様だ」との批判が寄せられました。
これに対し、志らくさんは「毎度言っていますが、スターは敬称略が礼儀。長嶋、ひばり、裕次郎、渥美清、大谷、イチロー。知り合いの場合や直接お会いした時はきちんと敬称で話すのが大人の礼儀」と反論しました。
この持論は、志らくさんが考える「スターへの敬意」の表現方法を示しています。
一方、X上ではこの発言に対する反応が分かれました。
あるユーザーは「言葉でどう言い繕っても、こういう時にその人の本性が分かるよね。誰であれ呼び捨てで呼ぶのはいかがなものかと」と批判し、呼び捨てを不敬と捉える立場を表明しました。
逆に、「この件に関して志らくは何も間違っていない。私もそう教育されたし、そうしてきた」と支持する声もあり、敬称略を文化や慣習として受け入れる意見も見られました。

長嶋茂雄の偉業と「ミスター」としての存在感
長嶋茂雄さんは、「ミスタープロ野球」「ミスタージャイアンツ」と呼ばれ、プロ野球界に多大な影響を与えた人物です。
1958年に巨人軍に入団し、史上初の400本塁打・2,000安打を同時達成するなど、数々の記録を残しました。
また、V9(9年連続日本一)の牽引役として、華麗なプレーと情熱的な姿勢でファンを魅了しました。
そのユーモラスな性格や独特な「長嶋語録」も愛され、国民栄誉賞や文化勲章を受賞するなど、野球界を超えた存在感を持っていました。
志らくさんが言及した「談志とテレビで対談した時」や「バラエティでインタビューした時」では、長嶋茂雄さんの人柄が垣間見えるエピソードが語られています。
たとえば、立川談志さんとの対談では、談志さんが遅刻しても謝らず、互いに「天才同士」の空気を漂わせていたと志らくさんは振り返ります。
このようなエピソードは、長嶋茂雄さんが単なる野球選手ではなく、独特の魅力で人々を引きつける存在だったことを示しています。

敬称略は礼儀?日本の敬称文化との関係
志らくさんの「スターは敬称略が礼儀」という主張は、日本の敬称文化において議論を呼ぶポイントです。
日本の文化では、目上の人や尊敬すべき人物に対して「さん」や「様」などの敬称を付けるのが一般的です。
しかし、歴史上の人物や著名人については、敬称を省略するのが慣例となる場合もあります。
たとえば、Wikipediaでは「歴史上の人物などは、例えば源頼朝、徳川家康のように、呼び捨てにするのが通例である」と記されています。
志らくさんの主張は、この慣例を現代のスターにも適用したものと考えられます。
Xの投稿でも、「敬称略はそう 『さん』を付けるのは知り合いのような振る舞いで馴れ馴れしすぎる」と志らくさんの意見に賛同する声がありました。
一方で、「たけしですら、長嶋さんのことは、長嶋さんと呼ぶ」と、敬称を付けるべきだとする意見も根強く、世代や価値観の違いが浮き彫りになりました。

SNS時代における言葉の重み
志らくさんの発言が注目された背景には、SNSの影響力があります。
長嶋茂雄さんの訃報というセンシティブな話題に対し、呼び捨てが「失礼」と受け止められたことで、瞬く間に議論が広がりました。
あるユーザーは「敬称略っていちいち断り入れなきゃ、こうやってケチつけて来る輩が出て来る。生きづらい時代だわ」と、SNS時代特有の言葉への過敏さを指摘しています。
志らくさん自身も、批判を受けて以降の投稿では「長嶋さん」と敬称を付けて発言するなど、柔軟な対応を見せました。
この変化は、SNSでの反響を意識したものとも考えられ、現代における言葉の選び方の難しさを象徴しています。

さいごに
立川志らくさんが長嶋茂雄さんを呼び捨てにしたことで巻き起こった議論は、単なる言葉遣いの問題を超え、敬意の表現や文化の違いを考える機会となりました。
志らくさんの「敬称略はスターへの礼儀」という主張には、一定の支持がある一方、長嶋茂雄さんの偉業と人柄を重んじるファンからは批判も寄せられました。
長嶋茂雄さんのようなレジェンドに対する呼び方は、個々の価値観や時代背景に左右されるデリケートな問題です。
SNSが普及した現代では、こうした議論がさらに加速する傾向にありますが、互いの意見を尊重しつつ、故人の功績を称える姿勢が大切ではないでしょうか。
