国民民主党が2025年夏の参議院選挙の比例代表候補として山尾志桜里さんの公認を一度は決定しながら、わずか1カ月後にその内定を取り消すという異例の事態が発生しました。
この決定の背景には、過去のスキャンダルやSNS上での批判、そして党の参院選戦略が深く関わっています。
本記事では、国民民主党が山尾さんの公認を取り消した理由と、その裏側にある過去のスキャンダルや参院選戦略について、信頼できる情報源をもとに詳しく解説します。
- 国民民主党は2025年6月11日、山尾志桜里さんの参院選比例代表の公認内定を取り消した。
- 主な理由は、2017年の不倫疑惑報道を巡るSNSでの批判拡大と党支持率の低下。
- 山尾さんの記者会見での説明不足が、党内や地方組織からの反発を招いた。
- 参院選戦略として、党は支持率回復と議席拡大を目指し、批判の強い候補の公認を見送った。
- 過去のスキャンダルが国民民主党のガバナンス課題を浮き彫りにした。
国民民主党が山尾志桜里氏の公認を取り消した理由
国民民主党は2025年6月11日、両院議員総会を開き、夏の参院選比例代表に立候補予定だった山尾志桜里さんの公認内定を取り消すことを決定しました。
この決定の主な理由は、山尾さんの過去の不倫疑惑を巡るインターネット上での批判が続出し、党の支持率低下につながったためです。
山尾さんは5月14日に国民民主党から参院選比例代表の候補として擁立が発表されましたが、その直後からSNS上で2017年に報じられた既婚男性との不倫疑惑やガソリン代の不正計上疑惑などが再び取り沙汰されました。
特に、X(旧Twitter)では「山尾志桜里への拒否反応は想像を絶する」「国民民主党をたった一人で潰す勢い」といった批判的な投稿が相次ぎ、党に対する不信感が広がりました。
さらに、6月10日の記者会見で山尾さんは不倫疑惑について「当時の自分の行動と対応は極めて未熟だった」と謝罪したものの、疑惑の事実関係については「今、新しくその件についてお話をさせていただくことは勘弁いただきたい」と明確な説明を避けました。
この対応に対し、国民民主党は「疑問を払拭する記者会見ではなかった」と判断し、党の地方組織からも公認見送りを求める声が相次いだことが取り消しの決め手となりました。

過去のスキャンダルが与えた影響
山尾志桜里さんの公認取り消しの背景には、2017年に週刊誌で報じられた不倫疑惑が大きく影響しています。
この疑惑では、山尾さんが既婚の弁護士・倉持麟太郎さんとの関係が報じられ、倉持さんの元妻が2020年に自殺していたことが後に明らかになりました。
元妻は2018年に週刊文春に手記を寄稿し、「山尾さんのせいで全てを失った」と訴えており、この件が再びSNSで取り上げられたことで批判が再燃しました。
また、山尾さんには不倫疑惑以外にも、ガソリン代の不正計上や議員パスを私的に使用した疑惑が過去に報じられており、X上では「ガソリン代不正計上や不倫で相手の妻を自殺に追いやった」との厳しい声が上がっていました。
これらのスキャンダルが重なり、国民民主党の支持層、特に保守層からの反発が強まったとされています。
産経新聞の単独インタビューで、山尾さんは不倫疑惑について「国民の非難をどう受け止め、どう反省しているのかを伝えていなかった。
対応を含め政治家として未熟だった」と振り返りました。
しかし、この発言も批判の沈静化にはつながらず、党に対するダメージを最小限に抑えるため公認取り消しに至ったと見られます。

参院選戦略と支持率低下への危機感
国民民主党は2024年の衆院選で比例票を617万票に伸ばし、28議席を獲得する躍進を遂げました。
この勢いを参院選につなげるため、党は比例区で1000万~1200万票の獲得を目指し、即戦力となる経験者を中心に候補者を擁立する戦略を立てていました。
山尾さんは国民民主党の創設メンバーで、知名度と政策発信力を期待されての公認でした。
しかし、山尾さんの擁立発表後、党の支持率は急落しました。
朝日新聞の5月19日の世論調査では、4月の12%から8%に低下し、読売新聞や共同通信の調査でも2~5%の下落が確認されました。
また、埼玉県和光市議補選での候補落選など、地方選挙での影響も顕在化しました。
党内では「山尾氏らが比例名簿にいるなら、比例は国民民主党に入れたくない」との声が上がり、玉木雄一郎代表も5月20日の会見で「応援いただいている方々が懸念や心配を持っていることは本当に申し訳ない」と謝罪しました。
最終的に、党は支持率回復と議席拡大を優先し、批判の強い山尾さんの公認を見送る判断を下しました。

国民民主党のガバナンス課題
山尾志桜里さんの公認取り消しは、国民民主党のガバナンスの課題を浮き彫りにしました。
日本経済新聞は、今回の混乱が「玉木雄一郎代表のリーダーシップで急成長した国民民主党の統治の課題」を示すと指摘しています。
党内では、山尾さんの公認を巡る執行部の意思決定プロセスに対する不満が噴出し、両院議員総会での紛糾も報じられました。
また、国民民主党は山尾さん以外にも、過去に物議を醸した足立康史さんや須藤元気さんを擁立しており、候補者選定の「選球眼」を疑問視する声がX上で広がりました。
党は今後、支持率回復に向けて候補者選定や情報発信の透明性を高める必要があるでしょう。

さいごに
国民民主党が山尾志桜里さんの公認を取り消した背景には、過去のスキャンダルによるSNS上の批判拡大と、参院選での支持率低下への危機感がありました。
山田氏の不倫疑惑やガソリン代不正計上疑惑が再燃し、党のイメージ悪化を防ぐための苦渋の決断だったと言えます。
この事態は、国民民主党が急成長の中で直面するガバナンスの課題を浮き彫りにし、今後の参院選戦略にも影響を与えるでしょう。
党がどのように信頼を回復し、支持層を拡大していくのか、引き続き注目が必要です。
