世界的に著名な建築家である隈研吾氏の設計による那珂川町馬頭広重美術館や富岡市役所で、木材の劣化問題が注目を集めています。
馬頭広重美術館では開館24年で屋根の木材が崩れるほどの腐食が進み、富岡市役所では完成6年で外壁の木材に変色や腐食が見つかりました。
これらの事例を背景に、隈氏の設計責任や木材の耐久性に関する議論が活発化しています。
この記事では、信頼できる情報源を基に、隈氏の木材劣化問題の核心と設計責任をめぐる議論を詳しく探ります。
- 隈研吾氏の馬頭広重美術館や富岡市役所で、木材の早期劣化が深刻な問題となっています。
- 劣化の原因として、木材の選定、防腐処理の不十分さ、気候条件、町のメンテナンス不足が指摘されています。
- 専門家からは隈氏の木材多用設計に根本的な問題があるとの批判が上がり、設計責任を問う声も。
- 馬頭広重美術館の改修費3億円やクラウドファンディングの低調な進捗が、住民の不満を浮き彫りに。
- 公共建築における耐久性とメンテナンス性の向上が、今後の課題として議論されています。
隈研吾の木材劣化問題と設計責任の議論
隈研吾氏の設計による建築物で、木材の劣化が相次いでいます。
栃木県那珂川町の馬頭広重美術館では、2000年の開館から24年で、地元産の八溝杉を使った屋根のルーバーが腐食し、一部が崩壊する事態に。
2024年9月の報道によると、改修費は約3億円に上り、町はクラウドファンディングで資金調達を試みていますが、目標1000万円に対し55万円(5.5%)しか集まっていません。
群馬県の富岡市役所も、2018年の完成からわずか6年で、外装木材の変色やひさし裏の腐食が確認されています。
2025年2月の市調査では、不燃薬剤の表出や豪雨による水切り不備が原因とされました。
建築エコノミストの森山高至さんは「直接雨風にさらされる部分にスギを使うのは問題。
油分の多い耐久性の高い木材を選ぶべきだった」と、隈氏の材料選定を批判しています。
一方、隈氏の事務所は「木材には防腐処理を施し、短いスパンでの改修は想定していなかった」と反論し、富岡市役所の修繕費負担の意向を示しています。

馬頭広重美術館の劣化とアルミ改修の背景
馬頭広重美術館は、2000年に約12億円で建設され、八溝杉のルーバーが自然と調和するデザインが特徴の隈氏の代表作です。
しかし、5年前から雨漏りやルーバーの崩壊が顕在化。那珂川町生涯学習課の川上浩さんは「美術品管理にコストがかかり、外観のメンテナンスに十分な費用を充てられなかった」と説明しています。
当初は木製ルーバーへの交換が検討されましたが、工事費2億円超に加え、10年ごとに約1億円のメンテナンスが必要と判明。
町は耐久性の高いアルミ製(木目調加工)に変更し、2025年7月から2026年2月までの改修を計画しています。
隈研吾さんはクラウドファンディングに応援メッセージを寄せ、「当時の保護塗料の性能が低かった」と劣化の要因を認め、改修への協力を呼びかけています。

富岡市役所の早期劣化と全国での事例
富岡市役所は2018年に40億8000万円で建設され、木材を多用したデザインが特徴ですが、6年で外壁ルーバーの変色や腐食が問題に。
市の調査では、豪雨や強風による水切り不備が原因とされ、隈氏の事務所は修繕費を負担する意向を示しています。
Xでは「木材の適切な管理がなされていれば長持ちするはず」との声があり、設計とメンテナンスの責任分担が議論されています。
全国では、高知県梼原町の「雲の上のホテル」(1994年開業、老朽化で解体)や高尾山口駅(9年でカビ発生)など、隈氏の建築物で同様の問題が報告されています。
森山高至さんは「隈氏の木材使用は見た目重視で、耐久性を軽視している」と批判し、業界内での「クマ問題」として注目を集めています。

住民と専門家の反応:設計責任とメンテナンスの課題
那珂川町の住民からは、改修費3億円に対し「税金のムダ遣い」「5年前からボロボロだった」との不満が上がっています。
美術館友の会の藤田真一さん(71)は「外観が全部木というのが特徴。木とアルミの差が心配」と、改修後の雰囲気の変化を懸念しています。
専門家の間では、隈氏の設計に構造的問題があるとの意見が強いです。木材学会の佐藤健一さんは「スギは適切な処理で50年以上持つが、隈氏の設計では気候条件やメンテナンス計画が不十分だった」と指摘しています。
一方、隈氏の事務所は「地元産材を活かす理念は変わらない」と主張し、アルミ改修を「技術の進歩」と位置づけています。

公共建築における今後の課題
馬頭広重美術館や富岡市役所の事例は、公共建築における設計とメンテナンスのバランスを浮き彫りにしています。
木材は環境負荷が低く、地域資源を活かしたい引き出す一方で、耐久性やメンテナンスコストが高いという課題があります。
Xでは「公共施設には耐久性が最優先」「見た目より実用性を」との意見が目立ちます。
自治体は、初期コストと長期的なメンテナンスコストをどう均衡させるか、が問われています。
また、隈氏の設計責任については、専門家の間で「設計段階での気候考慮不足」「メンテナンス前提の設計が不適切」との声が強い一方、隈氏側は「町の管理体制にも問題がある」と反論しています。
この議論は、今後の公共建築の品質管理や建築家の責任範囲に影響を与える可能性があります。

さいごに
隈研吾氏の木材劣化問題は、馬頭広重美術館や富岡市役所の事例を通じて、設計責任とメンテナンスの課題を浮き彫りにしました。
木材の選定や防腐処理、気候条件への配慮、町の管理体制など、複数の要因が絡む中、隈氏の「自然と調和する」理念と公共建築の耐久性のバランスが問われています。
今後、自治体や建築業界がこれらの教訓をどう活かすか、注目が集まります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
