女子プロレス団体「スターダム」のトップスター、中野たむさんが2025年4月27日、横浜アリーナで行われた「敗者引退マッチ」で上谷沙弥さんに敗れ、約9年間のプロレスラー人生に幕を閉じました。
この試合は、ワールド・オブ・スターダム王座と両者の引退を懸けた壮絶な一戦として注目を集め、ファンに衝撃を与えました。
なぜ中野たむさんは引退を選び、なぜ上谷沙弥さんとの試合でプロレス人生を終えたのでしょうか?
この記事では、公開情報やインタビューをもとにその理由と背景を詳しくまとめます。
- 中野たむさんは2025年4月27日、横浜アリーナでの「敗者引退マッチ」で上谷沙弥さんに敗れ引退。
- 引退理由は、スターダムが全てであり「スターダム以外でプロレスをする気がない」との信念。
- 上谷沙弥さんとの因縁は、師弟関係から愛憎劇へと発展し、敗者退団マッチ後の再挑戦で引退を決断。
- 試合後の感動的なシーンや「たむの呪い」発言がファンに強いインパクトを与えた。
- 中野たむさんのアイドルからプロレスラーへのキャリアと美学が、引退劇をドラマティックに。
中野たむが引退した理由は?
中野たむさんがプロレスラーとしてのキャリアを終えた理由は、彼女のスターダムに対する強い信念と、プロレス人生の集大成を賭けた決断にあります。
2025年4月19日のインタビューで、中野たむさんは
「3月3日に後楽園ホールで退団をかけて戦って上谷に負けて、退団してフリーになった。自分はスターダム以外ではプロレスをする気がないし、スターダムがすべて。スターダムでプロレスできないならプロレスラーである意味がない」
と語っています。
この言葉から、スターダムへの深い愛着と、団体を離れた後のプロレス継続に意味を見出せなかったことが引退の大きな理由と考えられます。
中野たむさんは、2025年3月3日の「敗者退団マッチ」で上谷沙弥さんに敗れ、スターダムを退団しフリーに転身。
しかし、納得がいかず「こんなんで納得いくわけねぇだろ」と上谷沙弥さんに再戦を要求し、引退を懸けた一戦を提案しました。
彼女は「もうどうなってもいい。すべて失ってもいい。あんたを倒すチャンスが得られるなら、全部捧げてもいい」と決意を表明し、引退をかけた試合に臨む覚悟を示しました。
また、2023年に負傷欠場中に引退を決意していたこともあり、スターダムの岡田太郎社長は「たむはゴールを探している」と見ていました。
この背景から、中野たむさんにとって引退マッチは、プロレス人生の集大成であり、スターダムでの全てを賭けた戦いだったのです。
なぜ上谷沙弥との試合でプロレス人生を終えたのか
中野たむさんが上谷沙弥さんとの試合でプロレス人生を終えた背景には、両者の深い因縁と師弟関係があります。
中野たむさんは、元々アイドル志望だった上谷沙弥さんをプロレスに誘った先輩であり、師弟関係にあった二人ですが、2023年に上谷沙弥さんが負傷しヒールターンしたことで愛憎劇が始まりました。
2025年3月の「敗者退団マッチ」での敗北後、中野たむさんはスターダムを退団しましたが、上谷沙弥さんが「本当にこれで終わりか?」と呼びかけ、引退を懸けた再戦を提案。
中野たむさんは「一番負けたくない相手から救いの手を差し伸べられて、どんなにみじめでも、すがるしかなかった」と振り返り、感情が「ぐちゃぐちゃ」の中での決断だったと語っています。
2025年4月27日、横浜アリーナでの「ALL STAR GRAND QUEENDOM 2025」メインイベントで行われた「敗者引退マッチ」は、26分9秒の激闘の末、上谷沙弥さんが中野たむさんの必殺技「トワイライトドリーム」を使い、3カウントを奪いました。
試合は壮絶で、中野たむさんは場外での奈落式フランケンシュタイナーやチェーンを使った攻防、掟破りのスタークラッシャーで抵抗しましたが、最終的に上谷沙弥さんの猛攻に屈しました。
上谷沙弥さんも「私も引退をかける」と宣言し、両者が全てを賭けたこの試合は、プロレス界に「伝説の試合」として刻まれました。
試合後の感動と「たむの呪い」
試合後、上谷沙弥さんは「中野たむのすべてを奪ったぞ! でも…なんか苦しいな。
全部お前のせいだからな。お前のせいで私はプロレスラーになった。
お前のせいでケガもした。お前のせいで強くなった。お前のせいでお前を引退させることになった」と涙ながらに語り、「私はお前のことが大好きだ」と本音を告白。
中野たむさんは「たむも宇宙一幸せなプロレス人生だった」と応じ、二人で肩を組んで花道を退場しました。
また、中野たむさんは「たむの呪いを一生背負って生きるんだよ」と上谷沙弥さんに言い残し、ファンの心に強いインパクトを与えました。
このシーンは、両者の絆とプロレスへの情熱を象徴するもので、観衆の涙と拍手を誘いました。
中野たむのプロレス人生と美学
中野たむさんは2016年7月にアクトレスガールズでプロレスデビューし、2017年にスターダムに移籍。
ワンダー・オブ・スターダム王座、ワールド・オブ・スターダム王座を獲得し、女子プロレス大賞も受賞するなど、スターダムの中心選手として活躍しました。
アイドルからプロレスラーに転身した彼女は、「宇宙一のスープレックス・マスター」を目指し、プロレスを通じてファンや仲間に愛される存在に。
引退試合では「人生全てをかけて貫き通したかった美学」を体現し、スターダムへの愛と上谷沙弥さんへの複雑な感情をリングで表現しました。
ファンの反応と賛否両論
「敗者引退マッチ」は賛否両論を呼び、SNSでは「引退ビジネス」「選手がかわいそう」との批判も上がりましたが、試合のドラマティックな展開は多くのファンを感動させました。
Xでは「中野たむ、やめるな!」との声が響き、彼女の引退を惜しむ投稿が多数見られました。
スターダムの岡田太郎社長は「団体が仕組んだものではない。選手の希望と覚悟を優先した」と強調し、両者の本気が試合の価値を高めたと述べています。
さいごに
中野たむさんが引退した理由は、スターダムへの深い愛と、プロレス人生の集大成を上谷沙弥さんとの「敗者引退マッチ」に賭けた覚悟にありました。
師弟関係から始まった因縁は、愛憎を超えた絆で結ばれ、横浜アリーナのリングで感動的なフィナーレを迎えました。
「たむの呪い」や「宇宙一幸せなプロレス人生」という言葉は、彼女のプロレスへの情熱とファンを魅了した美学を象徴しています。
中野たむさんの9年間の足跡は、女子プロレス界に永遠に刻まれるでしょう。