2025年4月13日に開幕した大阪・関西万博ですが、海外パビリオン建設を巡る工事費未払い問題が深刻化しています。
2025年6月13日の読売テレビニュースによると、中国館やマルタ館、アンゴラ館などで下請け業者が未払いにより倒産の危機に瀕し、「万博工事代金未払い問題被害者の会」が結成されました。
この記事では、未払いの原因、元請けの責任問題、そして救済策の可能性について、Xの反応や公式コメントを基に詳しく解説します。
- 工事費未払いの原因は、元請けの資金繰り悪化、追加工事の増加、多重下請け構造の不透明さ。
- マルタ館（1.2億円）、中国館（1.47億円）、アンゴラ館（4300万円）などで未払いが発生、元請けの責任が問われる。
- 万博協会は「民民の問題」と介入を避けるが、業者は国家プロジェクトとしての支援を求める。
- 救済策として「万博貿易保険」や訴訟が進行中だが、全面解決には課題が多い。
- 未払い問題は万博の評判やパビリオン休館に影響、観光客の体験にも波及。
工事費未払いの原因は何か？
大阪万博の工事費未払い問題は、複数の要因が絡み合っています。
まず、元請け業者の資金繰り悪化が大きな原因です。マルタ館では、外資系イベント会社が下請けに対し約1.2億円を未払い。
中国館では、元請けが1.1億円の未払いと追加工事分3700万円を支払えず、アンゴラ館では3次下請けの経理担当者が「資金を持ち逃げした」との説明が。
Xで@mori_arch_econoさんが「サブコンが下請けに金を払わずトンズラ」と指摘するように、元請けや中間業者の資金管理の杜撰さが問題です。
次に、追加工事の増加が未払いを悪化させています。
MBSニュースによると、タイプAパビリオンの下請け業者は契約金の40％と追加工事費（計8000万円～3億円）が未払い。
元請け側は「工事が不十分」と主張し、費用を差し引くケースも。
また、@omae_osamuさんが投稿したように、夢洲の軟弱地盤やメタンガス対策による工事遅延がコスト増を招き、資金不足を加速させた可能性があります。
さらに、多重下請け構造の不透明さも要因です。
朝日新聞の報道では、アンゴラ館の3次下請けが建設業許可を持たず、資金が下位業者に届かない構造が明らかに。
@mori_arch_econoさんは「中抜き業者が下請けに払わずトンズラ」と批判し、契約管理の脆弱さを指摘しています。
元請けの責任はどこまで問われるか？
元請け業者の責任は、未払い問題の核心です。
マルタ館では、下請けが元請けの外資系イベント会社を東京地裁に提訴。
中国館の電気工事業者は、元請けが1.47億円を支払わず、3月に大阪府に訴えたが解決に至っていないと訴えます。
アンゴラ館では、3次下請けの「資金持ち逃げ」説明に対し、元請けは「本国が審査中」と主張し、責任を回避。
元請け側の一部は「工事が不十分」と費用相殺を主張しますが、下請けは「昼夜問わず働いた」と反発。
Xでは、@boty02563682さんが「万博協会は責任を取って救済すべき」と元請けと協会の責任を追及。
しかし、万博協会は「民間同士の契約」と介入を避け、伊東良孝万博担当大臣も「当事者間の話し合いが基本」と述べるにとどまります。
法的には、建設業法に基づく元請けの支払い義務が問われる可能性があり、建設業許可を持たない業者の関与（アンゴラ館）も問題視されています。
救済策の現状と今後の可能性
下請け業者の救済策として、「万博貿易保険」が注目されています。
日本貿易保険（NEXI）が提供するこの保険は、万博工事の不払い損害をカバーしますが、全ての元請けが加入しているわけではありません。
被害者の会は、約150人の生活困窮を訴え、万博協会や政府に支援を求めています。
大阪府の吉村洋文さんは「契約の履行を促す」と述べ、許可違反には厳正対応を示唆しますが、具体策は未だ不明です。
法的救済では、マルタ館の提訴が進行中。
アンゴラ館の被害者の会は大阪府警への相談を表明し、詐欺の疑いも視野に調査が進む可能性があります。
しかし、@Shoji_Kaoruさんが「2年前に中小業者に協力を求めた知事の責任」と指摘するように、国家プロジェクトの看板を掲げた以上、行政の積極的関与が求められます。
エスクロー口座の活用や多重下請けの可視化など、再発防止策も議論されています。
観光と万博の評判への影響
未払い問題は、万博の運営と観光に影響を及ぼしています。ネパール館は1月から工事が停止し、開館の目途が立たず、アンゴラ館は4月14日から休館中。
Xの@mariyatomokoさんは「パビリオン建設業者が破産に追い込まれ、どん底」と、万博のテーマ「いのち輝く」との矛盾を批判。
読者は、休館パビリオンの数や再開見込み、観光体験への影響を気にしています。
万博協会は「情報収集と解決への働きかけ」を約束しますが、信頼回復には迅速な対応が必要です。
インタビューからの声
直接的なインタビューとして、被害者の会代表の男性（アンゴラ館業者）は「昼夜問わず働いたのに、万博倒産しかねない。生活に困っている仲間もいる」と訴えます。
また、中国館の電気工事業者は「こんなことになるなら、パビリオンを引き渡さなかった」と後悔を語り、行政の無策を批判。
これらの声は、下請け業者の切実な窮状を物語っています。
さいごに
大阪万博の工事費未払い問題は、元請けの資金繰り悪化、追加工事の増加、多重下請け構造の不透明さが原因で、下請け業者約150人が生活困窮に追い込まれています。
元請けの責任は法的・道義的に問われますが、万博協会の「民民の問題」との姿勢は議論を呼びます。
万博貿易保険や訴訟、行政の支援策が救済の鍵ですが、解決には時間がかかりそうです。
万博の評判や観光体験への影響も避けられず、迅速な対応が求められます。下請け業者の声に耳を傾け、公正な解決を願うばかりです。
