なぜエゾヤチネズミが大量発生?原因とレプトスピラ症の危険性を福島町の異常事態から考える

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北海道南部の福島町で、エゾヤチネズミをはじめとする野ネズミが大量発生し、住宅街や農地に深刻な影響を与えています。

この異常事態の背景には何があるのか、そしてネズミが媒介するレプトスピラ症のリスクはどの程度なのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、福島町の現状をもとに、原因と健康リスクをわかりやすく解説します。

この記事のまとめ
  • エゾヤチネズミの大量発生の主な原因は、2024年のブナの実の異常な豊作によるエサの増加です。
  • ネズミはレプトスピラ症を媒介し、尿で汚染された水や土壌を通じてヒトに感染するリスクがあります。
  • 福島町では住宅街や農地で被害が拡大し、駆除グッズが品薄になるほどの異常事態です。
  • レプトスピラ症の予防には、汚染水への接触回避や適切な駆除が重要です。

なぜエゾヤチネズミが大量発生しているのか?

福島町でエゾヤチネズミやアカネズミ、ヒメネズミなどの野ネズミが急増した背景には、2024年のブナの実の異常な豊作が大きく関係しています。

北海道立総合研究機構の林業試験場で主査を務める南野一博さんは、次のように説明しています。

「(道南では)ブナの実が昨年たくさんなったので、おそらくそれが1番の要因かなと。そうなると、山で増えすぎたネズミがそこから追い出されて街中に出てきてるんじゃないかなと」

道南に分布するブナの実は、5~7年周期で豊作になることが知られていますが、2024年は特に恵山地区で1平方メートルあたり600個以上の実が落下する異常な豊作でした。

この豊富なエサにより、エゾヤチネズミが急速に繁殖し、山から住宅街や農地に移動してきたと考えられています。

南野さんは、春に生まれたネズミが夏頃までに死ぬことが多いため、「おそらく夏頃までには落ち着く」と予測しています。

福島町での異常事態:住民と農家の苦悩

福島町では、ネズミの出没が日常生活に大きな影響を及ぼしています。HTB北海道ニュースの取材によると、住宅街では1カ月で63匹ものネズミが罠にかかり、2匹の猫を飼う住民でも対応しきれない状況です。

ある住民は「急に増えたんだ、これ(ネズミ)。嫌だて」と困惑を語り、別の住民は「遊んで死んだらくわえて、(ネズミを)見せに来る」と、猫が捕り切れない様子を伝えています。

農家も深刻な被害を受けています。トウモロコシ農家の佐藤孝男さんは、種や苗がネズミに食べられ、「千個、ポット苗で育てて、これを畑に移植するんだけど、移植前に、こういうふうにネズミがやってしまうからね。

どうしようもならない」と嘆きます。佐藤さんは5月だけで500匹以上のネズミを捕獲しましたが、「農家やって45、6年経つんだけど、初めて」と、過去に例のない事態だと語っています。

地元のホームセンター、イエローグローブ福島店の大坂芳弘店長は、駆除グッズが「例年と比べるとざっくり10倍」売れていると報告。

品切れの商品も出ており、駆除業者が不足する中、住民が自力で対応せざるを得ない状況です。

レプトスピラ症とは?エゾヤチネズミとの関係

エゾヤチネズミの大量発生に伴い、注目されるのがレプトスピラ症のリスクです。

レプトスピラ症は、病原性レプトスピラという細菌による人獣共通感染症で、ネズミなどの保菌動物の尿で汚染された水や土壌を通じて、傷口や粘膜からヒトに感染します。

国立健康危機管理研究機構によると、症状は軽い発熱や頭痛から、重症化すると黄疸や腎障害を伴うワイル病まで幅広いです。

福島町のようにネズミが住宅街や農地に溢れる環境では、汚染された水や土壌に接触する機会が増え、感染リスクが高まります。

特に農作業や洪水後の清掃作業では注意が必要です。

福島県の公式ウェブサイトでも、「大雨や洪水の後は、汚染水の滞留、衛生状態の悪化によるネズミ等の増加により、感染の危険性が高くなります」と警告しています。

治療にはドキシサイクリンやペニシリンが有効ですが、重症化すると命に関わる場合もあるため、早期発見が重要です。

予防策として、汚染された水に不用意に入らないことや、ゴム手袋・長靴の着用が推奨されています。

エゾヤチネズミの生態と繁殖力

エゾヤチネズミ(学名:Craseomys rufocanus bedfordiae)は、北海道に広く生息する小型の野ネズミで、森林や雑木林を好みます。

Wikipediaによると、北海道本島や周辺諸島に分布し、繁殖力が高いことが特徴です。

過去の研究では、実験室内での繁殖成績として、妊娠期間が平均20日、1回に1~9匹(平均5.1匹)を産むと報告されており、豊かなエサ環境下では急速に個体数が増加します。

今回の大量発生も、ブナの実の豊作によるエサの増加が繁殖を加速させた結果と考えられます。

林業試験場では、1950年代からエゾヤチネズミの生息状況をモニタリングしており、発生予察調査を通じて個体数の増減を追跡しています。

行政や地域の対応は?

福島町では駆除業者が不足しており、行政の具体的な支援策についての情報は限られています。

HTBの報道では、住民や農家が自力で駆除グッズを購入し対応している実態が明らかですが、行政の介入や補助金、罠の貸し出しなどの動きは報じられていません。

他の地域では、例えば横浜市や荒川区でネズミ対策として罠の貸し出しや啓発活動が行われており、福島町でも同様の取り組みが求められるかもしれません。

さいごに

エゾヤチネズミの大量発生は、ブナの実の豊作という自然現象が引き起こした異常事態ですが、福島町の住民や農家にとっては深刻な問題です。

レプトスピラ症のリスクも無視できず、衛生管理や駆除対策が急務です。

2025年夏頃まで続く可能性があるこの状況に対し、地域全体での協力と行政の支援が期待されます。

皆さんも、ネズミとの接触には十分注意し、安全な生活環境を守りましょう。

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