はじめに
馴染みのない方には「毛皮の種類」というのはピンとこないかも知れません。
毛皮の種類というのは、つまりは「動物の名前」です。
さまざまな動物が毛皮に利用されています。
バブル時代には、毛皮はよく売れましたが、現在は動物愛護や動物の権利への意識が高まり、その需要も生産量もすっかり減っています。
この記事では、その中でも一番人気の高い「ミンク」と、最高級品とされる「セーブル」について調べてみました。
一番人気の毛皮「ミンク」
ミンクはイタチ科に分類される体長30~50mほどの小動物です。
野生のワイルドミンクと、養殖のランチミンクがあります。現在はほとんどが養殖となっています。
刺し毛は強くしなやかで光沢に富んで、耐久性に優れ、保温力もよいため、衣料用として最高の素材と言えます。染色も容易で、現在では25以上のカラーが生産されています。
コート1着を作るのに30頭以上のミンクが必要とされるため、非常に高額となっています。
最高級の毛皮「セーブル」
セーブルはミンクと同じイタチ科の小動物です。
黒貂(くろてん)と呼ばれ、ロシアや中国北部、北海道でも生息しますが、一般的に「セーブル」といえばロシア産の「ロシアンセーブル」を指します。
色は黒褐色から黄褐色までさまざまで、白や銀の刺し毛が含まれるフルシルバリーは希少価値が高くなっています。
毛足はやや長く、非常に柔らかで軽く、保温力に優れ光沢があります。
耐久性にも優れ、毛皮のなかでも最高級の素材です。
毛皮の王様「セーブル」と毛皮の女王「ミンク」
上質なツヤと格調の高い毛並みの「セーブル」は、昔から毛皮を着る者の憧れで、まさに「毛皮の王様」と呼ばれています。
一方、長いあいだ根強い人気を誇る「ミンク」は、まさに「毛皮の女王」として君臨し続けています。
セーブルほどではありませんが、ミンクも高価な毛皮です。
どちらもイタチ科で、タイプは似ていますが、どちらも大変人気の高い毛皮です。
その他の毛皮の種類
他にもさまざまな動物の毛皮があります。その中でも、特によく知られている動物をご紹介します。
フォックス
ミンクと共に人気の高い野生種です。長めの刺し毛が特徴で、色目によってシルバーフォックス、ブルーフォックス、レッドフォックス、プラチナフォックス、ホワイトフォックスなどの種類があります。
コヨーテ、狸、ラクーン(アライグマ)なども、この種類に含まれます。
ラビット
毛色の種類が多く、それぞれに名称があります。代表的なものは、シロウサギ(白色)、チンチラウサギ(灰青色)、ゴマウサギ(灰褐色)、ゴールウサギ(ベージュ色)、クロウサギ(黒色)、ブチウサギ(混色)など。
他に、綿毛のレッキスや毛足の長いアンゴラは広く知られています。
刺し毛が柔らかく耐久性はやや低いですが、染色が容易で比較的安価なため広く利用されています。
リス
毛質は柔らかく緻密です。色はグレーと白が一般的で、鮮やかなグレーのものが上質といわれています。尾の毛はフェイスブラシなどの化粧用の筆に利用されます。
キャット
リンクスは野生の猫の一種で、日本では大ヤマネコと呼ばれています。
毛は長く密で非常に柔らかいものです。色は腹部が白く、暗褐色の美しい斑点があります。
他にリンクスよりも小型のリンクスキャット、さらに小さいボブキャット、ベンガル山猫と呼ばれるレオパードキャットなどがあります。
タイガー
タイガー(虎)は、ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類の動物です。体長は約1.5~2メートルあり、メスよりもオスの方が大型で、1mほどの尾を持ちます。
背面は黄色や黄褐色で、黒い横縞が入っています。
ウール
ウールは、羊の毛またはそれを織った布のことです。日本では毛織物と呼ばれます。一般的には羊毛を指しますが、アンゴラ・アルパカ・ラクダの毛などもここに含まれます。
ビーバー
主に北米の川や湖に生息し、ダムを作ることで知られています。刺し毛は硬めで綿毛が柔らかいのが特徴です。抜き毛などをして綿毛のみを染色して使用されることが多いです。
その他
他に、ヌートリア、アーミン、フィッチ、ムートン、オッポサム、ヴィーゼル、マスクラットなど、日本では馴染みのない動物の毛皮が知られています。
さいごに
毛皮は人類が古くから利用している衣類です。
長いあいだ防寒具として、多くの人々を温めてきました。
日本でも旧石器時代から利用され、近代に入ると衣料素材として広く利用されるようになり、戦後は熱狂的なブームを起こしたりもしました。
けれども、現在は動物愛護の観点から、徐々に毛皮の生産は減少しています。
いま毛皮は長い歴史の分岐点にあるようです。
どんな動物が毛皮に利用されていることを知ることは、毛皮の長い歴史とこれからのことを考えるためにも、大事なことですね。